Other Guys

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映画「アザー・ガイズ 俺たち踊るハイパー刑事」 10年 米
監督:アダム・マッケイ
主演:ウィル・フェレル
   マーク・ウォルバーグ





レッチリのチャドと同一人物説も流れる名コメディアン・ウィル・フェレルと映画「ザ・ファイター」での熱演も記憶に新しいマーク・ウォルバーグが(じゃないほう)の男達=アザー・ガイズとして反目し合いながらも事件を解決するブロマンス映画それが「アザー・ガイズ」だ。
彼らがどう(じゃないほう)なのかは(なほう)を思い浮かべればわかりやすい。
古今東西数え上げればきりがないほど氾濫するバディムービー。登場するのは筋骨隆々でやたらと明るく曲がったことが大嫌いな、現実にいたら即懲戒処分必至の刑事2人組。ちょっと趣は違うけれどタカとユージを思い浮かべてもOK。
極悪非道なワルイモンを様々困難をクリアしながら最後にはど派手な爆発と共に葬ってハッピー・エンド。それが(なほう)の人たち。
そんな主役(じゃないほう)がアレン(ウィル・フェレル)とテリー(マーク・ウォルバーグ)で、映画の冒頭ステレオタイプなほどにバディな2人(サミュエル・L・ジャクソンとドゥウェイン・ジョンソン)がこれまたステレオタイプなほどに荒々しく事件を解決するところから物語は始まる。
この映画が興味深いのは主役(じゃない)ことに苛立っているのはNYの英雄デレク・ジーターを間違って撃ってしまい左遷になったテリーだけで、もう一人の(じゃないほう)アレンは主役の活躍に心から賛辞を送り自らは楽しんでデスク・ワークをこなしているという設定。
ヒーローになりたいという病がどれだけ人を苦しめているのか、その苦悩から完全に逸脱している人間は往々にしてバカにされがちだけれど、こうして客観視すればどちらのほうがイタイかがよくわかる。
それでも患者は自分が病に冒されているなんて夢にも思わないものだから、(なほう)の2人が殉職した途端に次の(なほう)になるために躍起になる。
こうして物語が動いていくのだけれど、この映画、ただのコメディに終わらないところがまた興味深い。
それには2人が追いかける事件が関係している。この映画で犯人になるのは無差別殺人犯でも政治的思想犯でもないただの(?)有名投資家。でもその裏にはアメリカの金融崩壊が関係していて、とテーマはけっこうシリアス。もちろんそれを最後までシリアスには見せないところがこの映画のいいところなのだけれど、現代アメリカの抱える大きな問題に警鐘をならしているのは間違いない。


最後に、この映画見に行こうと思っているそこのあなた、絶対にエンドロール終わって劇場が明るくなるまで席は立っちゃだめだよ!