Mother

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映画 「母なる証明」 09 韓

監督:ポン・ジュノ
主演:キム・ヘジャ
   ウォンビン


まず初めに言っておかなければならないのは、これは完璧な映画ではないということ。
話の展開していく中でいくつか、そしてそのうちの一つは物語の成立を左右するという意味においては
非常に大きな要素になるところでどうしても納得のいかない部分がある。
けれどもそんな些細な(あえてこの言葉を使う)ことになど積極的に目をつぶって激賞したくなるくらいに
「完璧」な映画だった。
この映画は題名の通り母親を描いた作品で、要は母の愛は何よりも深く強いということを描いているのだけれど
だからといってありがちな”泣ける”映画ではない。
むしろ泣けない、絶対に。
僕も前情報は一切なしで見に行ったので、何となくそんな映画なのかな、と思っていたふしもあったし
だったらちょっと残念だなとすら思っていたくらいだったので、見終わった後の疲労感には戸惑った。
そう、疲れるんだよこの映画は。
いちいちこちらの思う話の筋とは逆の方向へ話が進んでいくものだから、その度に
「え、うそ」とか「まじかよ」
と驚きながら頭をそちらに合わせていくことになる。
中でもトジュン(ウォンビン)のあの行動には会場全体からおもわずざわめきが起きて、あの瞬間の衝撃たるやなかったなぁ。
そして物語の根幹を担う母親(キム・ヘジャ)の最初と最後のシーン。
あの二つのシーンで映画を始めて終えたポン・ジュノとあのシーンを演じきったキム・ヘジャにはもう、なんて言葉を送ればいいかわからない。
とにかく凄い。
あんなに楽しそうなのにどうしてここまで悲しみを想起させることが出来るのだろう。そればかり考えてエンド・ロールを眺めていた。