17歳にもなれてやしない

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少し前に紹介したセイゴオ先生の本。
読み終わった際にこれに先だって出版されたもう一冊の方も読んでみたいと書いたのですが、ようやっと読みました。
最初に読んだ(実質的には後編にあたる)方は主に17世紀以降の歴史、特にヨーロッパの国々の興隆についてと
同時期に日本では何が起こっていたのかを歴史的事実を踏まえながら具体的に語っていたのに対して、こちらの方は
人類がまだ文明と呼べるようなものを持ち合わせていなかったころから徐々に世界が今の有りように近づいていく課程を
主に神話や哲学、そして宗教というような非常に観念的な見地から語っています。
これを読むと人間というのはある時期まで非常に観念によって引っ張られてきたということを思います。
そしていつの時代も権力者はその観念を巧みに取り入れて自らの力に変えていく。
観念発現実行きの列車を幾度も幾度も乗り継いで人類はここまできたようですね。
特にキリスト教の発生とその進化の過程は純粋な宗教心や権勢欲やそのほかにもありとあらゆる事象を飲み込んでいく
一連のシークエンスに目を見張りっぱなし。
第3講「キリスト教の神の謎」の回は何度も読み直してその奥深さをほんのさわりでも理解しておきたいものです。
そしてもちろん我が日本の思想史、文化史も「え、そうだったんだ」や「なるほどー」が満載でとにかく読み進めていくのが楽しかったですね。
能や茶道の何たるか、日本の伝統と認識しておきながら身近には実のところそれに触れられるような機会がないという事実。
それに気がつけただけでも視界が変わります。
年だけとってカッコイイ大人になったつもりでもまだ17歳にもなれてやしない人は少なくないはず。
今さら勉強なんてと思わずに是非読んでみて欲しいですね。