The Eiger Sanction

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映画 「アイガー・サンクション」 75米
監督:クリント・イーストウッド
主演:クリント・イーストウッド
   ジョージ・ケネディ


トレヴェニアンの同名小説を基にしたスパイ映画。
ヘムロック(イーストウッド)は大学で美術を教えている一教師。
そんな彼のもとにむかし彼が所属していた組織から呼び出しがかかる。
今では引退してスパイ稼業から足を洗っていたヘムロックだが
蒐集している絵画と多額の現金を条件に一度は指令を受け入れる。
内容はチューリッヒで殺された仲間の仇討ち。
二人の犯人のうち一人はすぐに始末するが、もう一人は素性がつかめない。
ただひとつ判っていること、それは犯人は右足を引きずっていることと
近いうちにアイガー山北壁にインターナショナル・チームの一員として登頂
を試みるということだけ。
かつてアイガー山に2度挑戦していずれも失敗に終わっているヘムロックは
親友の仇討ちのため、そして自分への挑戦のためにアイガー山を目指す。


この映画の肝はなんといってもクライミングのシーン。
あらすじでは簡単にまとめてしまったけれど、一人目のサンクション(制裁)を終えてから
アイガー山へ向かうまでが長い長い。
ちゃんとトレーニングの過程を経るわけですな。
で、このトレーニングでおそらくアリゾナ辺りの荒野に赴くのですが、そのシーンが凄い。
何もない荒野にポツンと屹立する一本の岩(100メートルは軽くある)に登って頂上でのビールで乾杯。
かっこよすぎです。
そして本番のアイガー北壁ですが、こちらはクライミングはもちろんのことイーストウッドをのぞく3人の仲間の中から
親友を殺した犯人捜しも同時に行うというトピックがあって話の推進力はどんどん増すばかり。
しかし登頂が始まればサンクションなんてもう眼中になくそこにあるのは男達が協力して一つの目標を目指すというその一点のみに話の
中心が変わっていきます。
しかしあるきっかけで犯人が判明するとそれまでの緊張感が一気に解放されて今度は全く違うベクトルの衝撃が襲ってくるという
いちど焦点をずらしておいて最後にもう一度主題を引っ張ってくるという手法が素晴らしい。
アクションシーンが実はしょぼいというイーストウッド映画の特徴はここでも現れてしまっていますが、それでも話の筋や
ライミングシーンはかなり好い。
見る価値ありだと思います。