じゃーにー
シャワーを浴びて部屋へ戻ると暑くてまた汗が出るから、最近はすぐにベランダに逃げ込んでいる。
夜も1時を過ぎるとこの辺りは本当に静かで、どこかのベランダからエアコンの室外機の音が聞こえるだけだ。
10階の僕の部屋からは割とこの街が見渡せる。
高層ビルが結構多いのだなぁと、遠くのビルの屋上で赤く点滅するランプを眺めながら思う。
ふと下を向くと6階あたりの住人がタバコの煙を吐き出しているのが見える。
部屋から漏れる明かりに少し色をつけられた煙がアスファルトの闇を背景に流れていく。
誰にも見られてやしないだろうと思ってる煙。
誰かが起きてるなんて思ってやしない僕。
まさかと思って上を向いても誰も僕を見てなんていない。
ここは10階建ての10階。
梅雨空の切れ間に星が見える。
夏が僕に肩を並べていた。