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映画「バード」 88年 米
監督:クリント・イーストウッド
主演:フォレスト・ウィテカー


ジャズのアルトサックス奏者チャーリー・パーカーを描いた伝記的作品。
バードはそのパーカーの愛称であり、彼は主に40年代初期に活躍。
モダン・ジャズの原型であるビバップの創始者として名高い。
詳しくはウィキで。


伝記映画を楽しめるのはまず被写体に興味のある観客であることは間違いないだろう。
その点、僕は寡聞にしてチャーリー・パーカーのことはこの映画を見るまで知らなかった。
つまりパーカーのファンであるとか、ジャズのファン(少しは聴くけれど)であるとかではないため
その視点からこの映画を楽しむということは難しい。
となると、伝記映画を楽しみたければあとは作品自体にいわゆる映画的なサービスを期待するしかない。
派手な映像美や、物語上のカタルシスなどが僕の意味する映画的なサービスになるのだけれど、
この映画にはその要素もあまり見いだせなくて、視聴にはなかなか骨が折れる。
若い頃からドラッグに溺れ、卓越した技術を持ちながらも苦悩が絶えなかったパーカー。
言わばその陰の部分に焦点を合わせて、ジャズプレーヤーとしての彼ではなく一人の人間としての彼を描こうとすれば
あるいは仕方のない展開ではあったかもしれない。
パーカーを演じたアメリカの鶴瓶ことフォレスト・ウィテカーの演技やイーストウッドのジャズへの愛が溢れ出る演奏シーンなど見所も確かにある。
特にディープ・サウスにツアーへ赴く辺りのシーンはかなり興味深い。
しかし自らの興味の対象のズレからくる根源的な問題だけはどうしても解消できなかった。
伝記映画は難しい。