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The Experiment

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映画「エクスペリメント」
監督:ポール・シェアリング
主演:エイドリアン・ブロディ
   フォレスト・ウィッテカー


報酬は日給1000ドルで14日間。被験者は模擬刑務所でそれぞれ看守と囚人になってそれぞれの役割を全うする。
定められたルールを守り最後まで一人も脱落することがなければ報酬が得られる。
しかし実験はたった6日間で終了。
隔離された空間でいったい何があったのか。



この映画はスタンフォード大学で1971年に実際に行われた実験を基に制作されている。
実験の目的は役割が人間に及ぼす影響力の証明。
この映画、見所はアメリカの鶴瓶師匠ことフォレスト・ウィッテカーの怪演。
普段は温厚で礼儀正しく振る舞う彼がたった一度、人を服従させた快感によって変貌していく様がなにより恐ろしい。
実際の実験でも被験者達は誰に命令されるでもなく、囚人はより囚人らしく、看守はより看守らしく振る舞うようになったそうだが、その決め手となったのは役割だ。
本当の自分、という言葉が使われるようになって久しいがこの実験ではその幻想が見るも無惨に破壊されている。


監督であるポール・シェアリングの手腕も見逃せない。
主人公達が実験に入るまでのイントロ部できっちり普段の様を、それもさりげない表現で描いており、それが後に実験の過程で変化していく彼らの狂気に拍車をかけている。
特に全てが終わって虚無感に苛まれている主人公達が迎えのバスに乗るシーン。そこでフォレスト・ウィッテカー演じるバリスのとったある行動がまだこの狂気に本当の終わりが来ていないことを感じさせる見事な所作。
あのほんのちょとした行動があっただけでこの実験のおぞましさが何倍にも膨れあがった。
本当に見事な演出だったと思う。


上映館は全国的にかなり少ないようだが是非とも劇場に足を運んで見て欲しい。