愛のむきだし

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映画 「愛のむきだし」 09’ 日本
監督:園子温
主演:西島隆弘
   満島ひかり
   安藤サクラ

年末にかけて各所で列挙された09年のベスト映画。
その中にあって必ずといっていいほど上位に食い込んでいた邦画の代表がこれ。
僕もそのタイトルや大まかなあらすじは耳にしていたけれどちょっと後回しという感じで年末までは過ごしていました。
けれども僕の信頼する映画の伝道師達があまりに激賞するのを目にしたり耳にしたりするうちに「今すぐ見たい!」へと気持ちがシフト。
しかし追えば逃げるのが欲望の常で近くのTSUTAYAではいつもレンタル待ち状態。
しばらく粘っていたのですが埒があかなさそうだったので新宿のTSUTAYAに突撃。するとありました。さすが新宿。
この映画を見るにあたってまず頭をよぎるのは時間問題。
なんせ上映時間はほぼ4時間の超長尺。DVDは上下巻に分かれるというとてつもなさ。
でもこれ、見た人の感想を聞くとほぼ声を揃えて言われるように全然長さを感じさせません。特に前半(上巻)。
逆に言うと後半(下巻)は少し冗長に感じる向きもありましたが、全体を通して貫かれるハイテンションで高カロリーなストーリーのなせる技で本当に最後まで一気に見てしまいます。
登場する若者3人に共通するのは親からの愛の欠如。
その中でヨーコ(満島ひかり)とコイケ(安藤サクラ)の向かう先が割とありきたりなものであるのに比べてユウ(西島隆弘)のそれは驚くほどに斬新でこのアイデア一発で僕はこの映画を見る価値があると言わざるを得ないくらい。
あの設定はもはや発明。
そしてもう一つこの映画の白眉はなんと言っても勃起の使い方。そう、男子にとって永遠の魔法体験である勃起がこの映画ではまさに魔法のごとく物語にダイナミズムを与えるのです。
ユウが初めての勃起をする瞬間にこの映画があらゆる意味でまさに「起動」するわけで、この映画は童貞気質の強い人ほど物語への没入度が深まるよなぁと独りごち。
その観点から見るとこの映画を百パーセント味わえるのはリアル童貞であるとも言えるわけで、普段は後ろめたさを抱える人々が誰よりも優越できる貴重な4時間。
各所での高評価にも納得の一本。見てよかった。



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