「忘れる」という言葉に関するはなし

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忘れられる権利が認められた。

 

CNN.co.jp : 「忘れられる権利」認める、グーグルにリンク削除命令 EU司法裁 - (1/2)

 

裁判で争われた内容も興味深いけれど、『忘れられる権利』という言葉に惹かれる。

 

忘れられる権利。

 

「忘れてしまいたい」という言葉は割りとよく聞く。

僕もシャワーを浴びている時なんかに突然、過去の失態がフラッシュバックして「うぎゃー!」と叫びたくなることがあるので、そんな思い出はぜひ「忘れてしまいたい」

 

「忘れられたい」はどうだろう?

誰かが鬼籍に入った時「私たちにできるのは忘れないことです。忘れなければずっと心のなかで生き続けるのです」みたいな常套句がよく使われる。

であれば忘れられるとはなんて辛いことだろう。忘れられることは死にも等しい。

 

でもあまり幸せなサヨナラが出来なかった人には忘れられたいかもしれない。

そうしてそのまま忘れられるか、もしまた会えたなら今度はただのいい人で構わない、汚名をすすぎたい。

あ、でもはじめから向こうに「忘れてしまいたい」と思われてるか(笑)

 

この着想なかなか面白いと思ったら『エターナル・サンシャイン』があった。

あまり楽しめなかった記憶があるけれど、今なら味わって鑑賞できるかもしれない。


「エターナル・サンシャイン」予告編 - YouTube 

 

『忘れる』という言葉を絡めた言い回しには好きなものが多い。

どうやら忘れるという言葉はボクの琴線に触れるらしい。

 

例えば最近でいうとシャキーラリアーナが共演したこの曲のタイトルに膝を打った。


Shakira - Can't Remember to Forget You ft. Rihanna ...

 

Can’t remember to forget you.

うまくこのニュアンスが和訳できないけれど、忘れたいのに忘れられない、ってところか。これだと英語の味わいが消えてるけど。

直訳は野暮すぎるのでやめておこう。

曲自体は可もなく不可もなくだけれど、曲名はほんと素晴らしい。それとお二人の肢体も素晴らしい。

 

 

もうひとつ『忘れる』を絡めた言い回しで好きなのはこれ。

 

忘れたくても思い出せない。

 

もとは天才バカボンバカボンのパパが言ったセリフだ。

ボクは映画評論家の町山智浩さんの『トラウマ映画館』で知った。

著者が幼い頃に見て強烈なトラウマを与えられた映画の数々をして「忘れたくても思い出せない、思い出したくても忘れられない映画」という使われ方をしていた。

 

この言い回しはほんと絶妙。

 

で、ボクも忘れたくても思い出せない映画がある。

 

車で旅をしている夫婦が、とあるお店で給油を兼ねて休憩すると奥さんが忽然と姿を消してしまう。

必死で探すダンナ。しかしそこにいた人は誰も奥さんの姿を見ていないと言う。

それでもなんとか手がかりを辿ると長距離トラックに行き着く。

カーチェイスからトラックへダイブで忍び込み犯人と思われる男の家まで来るダンナ。そこはアメリカの片田舎で人気もない場所。

犯人はそこに女を拉致しては残虐な行為に及んでいた。

ダンナは奥さんを救い出す。追いかけてくる犯人のトラックが崖から落ちてジ・エンド。

 

確かこんな映画だった。

アメリカにいた頃にテレビで見たっきりで、思い出したくても題名は覚えていない。エンドロールで見た記憶はあるけれど忘れてしまった。でもあの時の薄気味悪い印象がいつまでも忘れられない。

 

あー気になる!誰か分かる人いませんか?

 

トラウマ映画館 (集英社文庫)

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