Hip Hop meets 官公庁 ヒップホップの資格化に反対します

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中学1・2年生の授業でダンスが必修化されるという話題、僕は割りと好意的に受け止めていたのですが、とある文章を読んでその態度も改めたほうが良いのかなと思い直しました。

ヒップホップに資格は必要か


ここではヒップホップとは?という解説はしません。始めると長くなりますし、僕もそこまで造詣が深いわけではありません。
興味のある方は数多ある解説書を引いていただくことをおすすめします。

↓↓これは最高の手引書。

文化系のためのヒップホップ入門 (いりぐちアルテス002)

文化系のためのヒップホップ入門 (いりぐちアルテス002)


ただ、確実に言えること。それはヒップホップとは社会的に抑圧され差別されてきた人々が築き上げたストリートカルチャーだということです。
それがいま公の機関に学校で学ぶべきいっぱしの文化として認定されました。
それ自体は決してネガに捉えることではありません。
多くの人に愛好される文化というものは望むと望まざるにかかわらず時とともに成熟し、体系的、学問的になってしまうことは避けられないし、そうしなければすそ野が広がらず衰退しかねない。


問題は人々が時間をかけて築き上げてきた文化を公的機関が独自に資格化してしまうというところです。
同じくヒップホップを教育するということで言えば、開校直前に校長が大麻取締法違反で捕まったNippon Rap Academyはその文化の担い手が自分たちで文化を下支えしていこうという姿勢が見られます。(けっきょく今はどうなっているのかは不明)
一方、ヒップホップダンスの資格付与権限を持つ厚生労働省とその外郭団体である職業技能振興会のお偉方はどれくらいご自分たちが扱おうとしている文化のことを理解されているのか。
ひょっとすると「ラップはネイティブ・タンしか認めねー」なんてこと言っちゃう方々かもしれません。実際に会うまで決め付けることはできません。
しかし、もし本当にヒップホップに理解のある方であれば、まさか試験や研修に65,000円、さらに年会費と称して12,000円、それだけでは飽きたらず更新料まで取ろうなんて思うでしょうか。
市井の人々がここまで作り上げた文化を勝手にマネタイズしてって、それこそ搾取じゃねーか。
本当にヒップホップに敬意があればこんな搾取するわけないですよ。

官公庁のお得意のライセンス・ビジネスがついにここまできたという感じですね。
かわいそうに、自分たちの子供が可愛い親御さんはちゃんとした資格をもった先生からしか習わせたくないでしょうし、学校で教える人は当然として、街のダンススクールも嫌々この資格取りに行かなきゃいけなくなるんじゃないですかね。

夜の街でビルのガラスを鏡にして練習する野生のダンサーたちがお上が認定する純粋培養のダンサーたちとダンスバトル。
そんなドラマを想像してしまいました。
バトル会場はとうぜん殺風景な会議室だぜ!(写真は職業技能振興会のページから拝借。映画「サイタマノラッパー」のあのシーンを思い出す痛々しさ!!)