Final Destination5

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映画「ファイナル・デッドブリッジ」 11年 米
監督:スティーブン・クォーレ
主演:ニコラス・ダゴスト




主人公が見た予知夢により大事故から逃れた人々が追いかけてくる死の運命と対峙する人気ホラーシリーズの第5作目。
今作はタイタニックアバターの監督・ジェームス・キャメロンのもとで長く仕事をしてきたスティーブン・クォーレの長編映画初監督作品。


邦題のデッドブリッジが示すとおり今回、大惨事が起きるのは風光明媚な橋の上。
工事中で強度が落ちているところに折からの強風で橋が崩れていくという現実に起こりそうで起こらなそうな、ちょっと起こるかもしれないという絶妙なシチュエーション。
真っ二つに折れた橋から落ちた体が偶然にも橋の下を通っていた船のマストに突き刺さったり、熱々のアスファルトで体を焼かれたりと今回も冒頭から凄惨なシーンの連続でまずはファンを楽しませてくれる。
ここではジェームス・キャメロンと3D撮影を長年務めていた監督の手腕がいかんなく発揮されておりエグさが増している。
今作の最高にして最大の弱点は映画でいちばん派手なシーンが冒頭に来てしまうというところだが、今作は加えて3D効果もここを頂点にしてしまっているためにここから先はじゃっかん拍子抜けしてしまうところが残念。
とはいえ今作も手の込んだ死に方が登場人物達を待ち受けており、初めに死ぬキャンディスの体操シーンのくだりは事が起きるまでのタメが本当に嫌な感じで良い。
シリーズ中にはまさに不運としか言いようのない死に方(なにかの拍子に鋭利なものが飛んできて首や体が真っ二つになる等)があったりして、これについては描写もあっさりしているし、びっくり箱的な効果以上にはなり得ない。
それに比べて怖いのは現実の生活でも本当に些細なミスや不注意が原因で起きるかもしれないと思わされる事故的な死に方だ。
過去には日サロのマシーンに閉じ込められて焼死という最高にバカな、でも「ひょっとすると」な死に方があったが、今回はレーシック手術がそれだ。
ハッキリ言おう。俺はレーシックなんて絶対に受けないと。
このくだりで惜しいのはレーシック自体が直接の死の原因にはならなかったことだが、あの日常がちょっとしたことで大惨事に変わるというシリーズの持つ魅力と恐怖が存分に味わえる。


これまでの物語と違い今作では死から逃れる可能性として身代わり制度を提示する。
それにより仲間内での疑心暗鬼や殺し合いという新たな展開が加わりクライマックスに向けて良い加速がついている。
そしてラスト。シリーズのファンには嬉しいある仕掛けがあるのだが、これにより物語の設定に関する謎は深まったと言えるだろう。
つまり、なにをしても死からは逃れられないことが提示されるのだ。
果たしてシリーズの抱える謎についての答えは用意されているのか。それともこれからもただ悪趣味に嫌な死に方演出を極めていくのだろうか。
「くっだらねーなー」と知りつつもこの興味の持続で次も観に行ってしまうであろう自分がけっこう好きなのだ。


オマケ。
今作で主人公の親友役を演じたマイルズ・フィッシャー。
彼はプロの音楽家としても活動しているのだが、そんな彼の提案で今作の登場人物達とミュージックビデオを撮っている。
アメリカのテレビでやっていた学園コメディ「Saved by the bell」のパロディのビデオになっているが、本質はこの映画のプロモーションビデオ。
よってこの手の映画が苦手な人は見ない方がいいかもしれない。(サムネイル(笑)だけど)
そうじゃなければぜひ見て欲しい。曲も良い。かなり良い。