Why We Laugh:Black Comedians on Black Comedy

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映画「ブラック・コメディ 〜差別を笑い飛ばせ!〜」
監督:ロバート・タウンゼント


ウェイアンズ兄弟にビル・コスビー、デイブ・シャペルにポール・ムーニー、そしてクリス・ロック…。豪華な黒人コメディアンの面々が、黒人コメディの歴史や時代背景、そして現在に至るまでを語った作品。


日本では馴染みの薄い黒人コメディアン。
それもそのはずで僕たち日本人がそのおもしろさを完璧に理解するには語学はもちろん文化的な素養も相当必要になってくる。
なぜか?それは彼らの笑いはただ面白い話をのべつ幕なしに垂れ流しているだけでなく、れっきとしたレベル(反抗の)・カルチャーだからだ。
なんのいわれもなく奴隷としてこき使われ、差別されたという絶対的に不幸な歴史。
それを笑い飛ばすことに決めたところから始まる文化だからこそ、不幸にも、と言うべきか、門戸は狭い。
笑いなんだから小難しいことは抜きに笑えたらそれでいいじゃん!という意見はもっともだと思う。
僕だってうんこ・ちんちんの類は大好物だ。
しかし彼らにとってそれは諸刃の剣だ。それもその刃は相当に鋭い。
何の考えもなく舞台上でマザー・ファッカーと言って笑いを誘うコメディアンが増えれば増えるほど、彼らに対する偏見は助長され品位は貶められていく。
ただ笑わせればそれでいい、なんてことが簡単にはまかり通らないシビアな状況。
だからこそ人々はそれをブレイクスルーした素晴らしいユーモアに心行くまで酔いしれることができるのだ。
不幸を笑い飛ばそうと考えたときから彼らの幸福な時間が始まったというのは不敬だろうか?