Devil's Playground

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映画「アーミッシュ 禁欲教徒が快楽を試すとき」 02'米
監督: Lucy Walker(ルーシー・ウォーカー)


絶対禁欲主義キリスト教徒、アーミッシュの知られざる実態を描いた作品。18世紀の生活様式を保つアーミッシュ。だが15才を過ぎるとアーミッシュの子どもたちはコミュニティから離れて普通の若者の生活を送り、その上でアーミッシュの暮らしに戻るのか、外の世界で生きていくのかを自分の意志で選択しなくてはならない・・・。
from 松島・町山 未公開映画際HP

すくなくとも今まで見てきた未公開映画の中ではベスト1の作品。
まず題材が興味深すぎる。
18世紀以降の文明を全て拒否している絶対禁欲主義のアーミッシュ教徒が、悪魔の遊園地(原題はDevil's Playground)である俗世の暮らしを、その俗世の人々以上に謳歌するルムシュプリンガという風習。
こんなトンデモナイ風習が実在しているということに驚愕。
そしてこの映画の持つメッセージ。
人はパンのみに生きるにあらずとは言われるけれど、快楽のみに生きるにあらずでもあるわけだ。
酒、タバコ、セックスなんてのはそれだけをやり続けたってすぐに飽きてしまう。
そんな刹那的な快楽だけで本当の充足感は得られないんだよ、やっぱり。(それらの快楽は肯定してます。特にセックス!!)
それよりも本当に人を勃起させるのは、自分がこの先どうなるのかわからない、けれど何かとてつもないものがあるのではないか、と思わせてくれる可能性なんだよね。
例えばそれは学ぶということ。今作でアーミッシュに戻らなかった女の子は家族と縁を切られようとも大学で学ぶという道を選んだ。そこにはアーミッシュの生活では一生得ることの出来ないであろう世界をそこに見いだしたからだ。


作品が終わってから始まる町山さんの解説も必見。
文明社会から距離を置くアーミッシュの映画だなんていうと、ついつい文明社会批判プロパガンダか?なんて思いがちだけれど、真逆。
これは人間が連綿と築き上げてきた文明賛歌なんだとすぅーっと作品が消化できる。
素晴らしい語り部です。