Kassim The Dream

このエントリーをはてなブックマークに追加

映画「カシム・ザ・ドリーム」
監督:Kief Davidson(キーフ・デヴィッドソン)


6歳のときに誘拐され、ウガンダ国民抵抗軍の兵士として強制的に大量虐殺の訓練を受けた過去を持つ、IBFジュニア・ミドル級チャンピオンのカシム・オウマを追った感動のドキュメンタリー。
from 松島・町山 未公開映画祭HP


アフリカ東部に位置するウガンダ共和国は1971年に後に食人大統領と呼ばれることになるアミンがクーデターによる政権獲得を果たすも、79年に失脚。
それから政権を巡って絶え間ない内戦が続く中で1986年にNRA(国民抵抗軍)が政権を奪取。ムセベニ大統領の政権下で統治が進んでいるが”神の抵抗軍”という反政府勢力との争いは続いている。
この映画の主人公であるカシム・オウマはNRAの兵士だった男で今はアメリカでプロボクサーとして活躍している。
彼は6歳の時にNRAに誘拐されて兵士になりそれから多くの人を殺してきた。
殺さなければ殺されるという環境で育った彼だったが軍隊で習ったボクシングが道を切り開いた。
有望な選手だった彼は国の代表としてアメリカの大会に出場する際に軍から逃亡した。
行く当てもなくアメリカを彷徨っていた彼はとあるボクシングジムを訪れた。初めは言葉も通じなかったが、懸命に練習を重ねてついには世界チャンピオンにまでなった。
そんな彼につけられた愛称がカシム・ザ・ドリームだった。
カシムは亡命の4年後に母親を、そこからさらに数年の後に祖国に残してきた息子をアメリカへ呼び寄せることができた。
しかし軍から脱走した彼はウガンダでは犯罪者扱いのままのため祖国に帰ることが出来ない。
祖国には逃亡した彼のために軍により殺された父親のお墓がある。
彼はアメリカの政治家や在米ウガンダ領事に掛け合って祖国へ無事に帰るための運動を開始。
それと同時に2階級制覇の夢を叶えるべくトレーニングに励む。
そして彼はついに恩赦を認められて無事に祖国へ行くことが許された。
10年ぶりの祖国、変わってしまったものに、変わらないままのものに目を輝かせながら彼は少しずつ生まれた場所へと向かう。
途中に立ち寄った村では地元の人々による演劇を見た。
その劇はその昔にこの村で起きた悲劇を描いていた。軍隊による略奪、戦士にするための子供狩り。
カシムは沈痛な面持ちでその一部始終を見た。
生まれた村では祖母と再会を喜び合い、父親の墓石では悲しみのあまり泣き崩れた。
2010年9月25日。彼は夢の2階級制覇を成し遂げる。


彼の祖国ウガンダでは今も神の抵抗軍により誘拐された子供達がたくさん人を殺している。