Maxed Out

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映画「マックスト・アウト 〜カード地獄USA〜」06'米

監督:James D Scurlock(ジェイムス・D=スカーロック)

1世帯あたり平均9000ドル以上のカード負債があるアメリカ。そんなクレジットカード漬けになっているアメリカ人の借金の実態と金融業界の真の姿に迫り、貧しき者がさらに貧しく、富めるものがさらに豊かになる仕組みを解き明かす。
from 松島・町山 未公開映画祭HP


デパート、ファッションビル、果てはスーパーマーケットでも入り口付近に机と椅子を並べて必至に加入を促している各種クレジットカード。
いつもその付近を通る度に「そんなに何枚もカードを持ってどうするんだろう?」って不思議に思っていたんですが、カードで買い物すると割引が受けられたりポイントがついたりしてお得なんですね。
なんてなことをつい最近になって知った僕はもちろんそれらのカードとは無縁の生活。
持ってるのは銀行のキャッシュ機能付きのやつだけです。
自分の持ち分以上のお金を動かすことに抵抗があるんですよね。やっぱり買い物するときはキャッシュっていう堅実派。
だからこそこの映画で取り上げられるカード破産の実例とか見ると不思議で仕方なかったりします。


とはいえこの映画、ただ無計画で自己破滅型の人々を描いたものではありません。
どころか大半の人はカード会社の陰謀、または時の政府(W.ブッシュね)の放任によって被害を被った正真正銘の被害者ばかり。
そもそもクレジットカードってその名の通りクレジット(信用)があるから成り立つものなはずなのに、いつしか顧客の中心は低所得者に。
何故かと言えばその方が利息で儲かるから。
計画的に使用できる人の場合は期日にきっちり支払いが行われる一方、低所得者は返済が出来ずに利息は膨らむばかりですからね。
でもこれって誰が考えてもおかしな状態なわけで。
いつしか彼らはカードの審査をユルユルにして大学のキャンパスなどに侵入しては無知な学生をターゲットにカードをばらまき始めました。
こんな話を聞くと「当然まともな考えを持ってる人が規制をかけるでしょ?」と思うでしょ?
ノンノンノン。なぜならこのときアメリカを支配していたブッシュ政権は大統領選時にカード会社から一番献金をもらってたんですもの!!
そうなれば規制をかけるどころか、状況はさらに悪化していく一方で、多重債務者にとって唯一の逃げ道であった自己破産のほうに規制をかける始末!
ここまで政財官が一体となると富めるものはさらに富み、貧しきものはより困窮していくだけ。
この映画、終始こんな感じで救われない人々が次々と出てくるだけだし、最後はそんな状況に追い打ちをかけるような後日談まであって結構見るのはしんどいかもしれません。
しかし、そんな不条理がまかり通ることのおかしさを今一度真っ直ぐに見つめるために、そしてそんな状況を変えていくためにはやはり私たちが行動を起こすしかないというリアルに目覚めるためにぜひ見て欲しいと思います。
あー思い返しただけでもブッシュに苛立ちが…。
そうするとそんな奴を妄信的に支持するキリスト教原理主義が、ってどんどん繋がっていくのがこの未公開映画祭のすごいところだ。