Clash of the Titans

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映画「タイタンの戦い」 10米
監督:ルイ・レテリエ
主演:サム・ワーシントン


今年のベスト候補。
ギリシャ神話が題材だからってのはかなり大きな理由ですが、物語の構成がとてもいい。
物語の中に挟まれる神話のエピソードの使い方がとても自然でなおかつ物語の中での必然性もしっかりしているから見ていて思わず膝を叩きたくなる快感が何度もありました。
特に映画の推進力の中心になるアンドロメダの生け贄の顛末。
ギリシャ神話の超がつくくらい有名な話しで王女カシオペアが娘アンドロメダの美しさを神にも増して美しいと口にしたために怒ったポセイドンがアンドロメダを生け贄に捧げさせた、というのはありますが、それでは一体どんないきさつがあってそんな発言が飛びだしたのかという部分についてはこれまで考えたこともありませんでした。
それがこの映画ではしっかり描かれていて、その展開に入るまでの流れが本当に見事。
そして設定の見事さで言うとゼウスたちオリュンポスの不死身性は人間たちの祈りに因っていて、冥界の王であるハデスの不死身性は人間たちの悲嘆に因っているというのもかなりよかった。
この設定によって神の間の争いというサブストーリーと、人間たちの中にもハデスに与するような悪魔教的な信徒たちが登場してその熱狂の行き着く先としてアンドロメダの犠牲があるという物語中心における狂騒感が高まりました。
ていうか不完全な人間によって神様がその完全性を維持しているというのは物語のエッセンスとして色々な広がりをつけられそう。素晴らしい発明だね、これは。
そしてこの作品の最高の見所はペルセウスの守護役として登場するイオ。
この役を演じるジェマ・アータートンがマジで美しすぎる。
美しすぎる市議ならぬ美しすぎる女優。この表現、「それは普通だろ」というツッコミが入るかもしれませんが女優=綺麗という既成概念を超えてさらに綺麗なのでありとします。
それも最初に登場したあたりや途中までは特にそこまでピンとこなかったのに、ある時点から急に魅入られたという点で尾を引く魅力が。


あえて不満点を述べれば3D映画という触れ込み。
これは完全に詐欺に近い。
というかそれは前情報として聞いていたので僕は2Dで見たかったのですが生憎近くの映画館では3Dのみ上映。
もともとこれ普通のカメラで撮影したのをあとから3D変換できるシステムがあるとしった監督がシコシコ編集したそうで、かけた手間には敬意を表するがはっきりいってやるだけ無駄だったとしか思えない。
というよりこれは最近どんどん増えている3D映画全般に言えることなのだけれど、そのほとんどに3Dである必然性を感じられない。
そういった意味ではやはりアバターはすごかったんだと今だからこそ評価が高まる。
あれくらいがっちり世界観を作り上げておかないとただ奥行きが増えましたよというだけの手段の行使にしかならないでしょう。
とはいえ3Dでも上映していると聞くと、どうせ見るなら3Dで見ないとなんか損だよなと思ってついついそちらを選んでしまう自分がいるのも否定できないし。なんだかまんまと制作者の意図に乗っかってしまっているなぁ。


とはいえギリシャ神話の魅力を見事に昇華したストーリーには大満足なので、今度は2Dでもう一度がっつり楽しみたいと思っています。
みんなも見た方がいいよ!