I Love You, Man

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映画「40男のバージンロード」 09米
監督:ジョン・ハンバーグ
主演:ポール・ラッド
   ジェイソン・シーゲル


不動産販売のセールスマン、ピーター(ポール・ラッド)は付き合って8ヶ月のゾーイ(ラシダ・ジョーンズ)にプロポーズの末、見事に婚約を果たす。
しかしその瞬間、ピーターの脳裏に浮かんだことはベストマンの不在だった。
かくしてピーターはベストマンを見つけるべく様々な方法で友達を探すことになる。




もう最高に面白いのでうだうだ説明するのは省いてとにかく観ろとその一言で済ませたいくらいなのだけど、一応以下にその理由を。
まずこの映画で興味深いのはアメリカ(西洋諸国?)における習慣としてのベストマンという存在。
これは結婚式の時に新郎の一番仲の良い親友が付添人となって大切な結婚指輪を預かったりする独特な制度。
結婚する二人の証人と言えるかもしれない。
この映画では昔から女の子には困ったことのないピーターが結婚を決めたのにそれを分かち合う友がいないことに気づくというところから始まる。
そこでゲイの弟や母親の手を借りて友達を見つけようとするのだけれど、そんな上手くはいかないもので。
しかしある日、ピーターが担当したとある豪邸の見学会に来ていたシドニーという男と知り合うことに。
すると二人は次第に意気投合して、ピーターはついにベストマンになって欲しいと依頼するまでになる。


と、ここまで簡単にあらすじを追っていくと、これって擬似恋愛なんですよね。
つまり肉欲としての恋愛ではなくて精神的なホモっ気をあたかも異性間の恋愛のエトセトラのように描いているわけ。
だって、名刺交換をした後日ピーターがシドニーを飲みに誘おうとするときなんてまるで中学生が好きな女の子の家に電話をかける時のように受話器の前で何度もためらったり、一緒に行ったコンサートの曲順を電話で確認してはしゃぎあったりするんですよ。
しまいにはケンカをしてもう会わないでおこうとかさ。(それも貸していたDVDを返してくれと要求するあたりなんて女と別れるときにありがちなことまでする始末)
この映画の面白いところは実はこれ友情を描いているようで逆説的には立派な恋愛指南映画にもなっているところなんです。
つまり自分の気持ちをぶちまけることから逃げて当たり障りのない関係だけを築こうとしても絶対に上手くやっていけるなんてないんだよ、かっこつけたり窮屈な思いを抱えたままで生きるだけじゃ本当にわかり合うことは出来ないんだよという教えを同性間の友情を通じて教えてくれているのです。
現にピーターは初めて自分の性生活などのプライベートな話題を半ば強引とは言えシドニーに語ったことで一気に打ち解けていくんです。
これって異性間の恋愛にも言えることで、やっぱかっこ悪い部分を見せても平気な子とか冗談を言い合えるような子の方が結局は上手くいくわけですよ。
そりゃもちろん一晩だけお相手願えるなら常に気を張ってなきゃいけないような高嶺の花を目指したいけどさ!


しっかり笑えて人間考察としての深さもあるというこの映画。心の底からおすすめなり!