ボルゲーゼ美術館展

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現在、上野公園内の東京都美術館で開催中のボルゲーゼ美術館展へ行ってきました。



お目当ては看板には載っていないボッティチェリの作品。
もちろん他にもルネサンス期からバロック期の作品が多数見られるとあって期待値高し。
ちなみにボルゲーゼ美術館というのは今回の展示品を個人コレクション(!)として蒐集していたシピオーネ・ボルゲーゼ枢機卿(1576-1633)がローマ市内に建てた夏用の別荘がもともとの成り立ち。
叔父が教皇パウルス5世とはいえ個人でこれだけの作品を所持してさらには別荘まで。
格差が叫ばれる昨今ではありますが、当時の富と権力の集中具合は比にならないですね。
ただしそんなボルゲーゼがいたからこそバロックを代表するカラバッジョやベルニーニが活躍できたわけですから、そこは美や芸術を愛する全ての人にとって幸福なことだったとも言えます。


音声ガイドをお供に会場内へ。

イマドキは音声ガイドもタッチパネルです。
ちなみに今回のガイドは映画「耳をすませば」の月島雫役でお馴染みの本名陽子さんでした。エエ声。


気になった作品を列挙してみます。
まず最初に見入ってしまったのは入場してすぐのところにあった作品番号7番・ベルニーニが彫り上げたボルゲーゼ枢機卿の彫像。
豊かな表情をたたえたその彫像はまるでこちらに話しかけてくるかのように生き生きとしていて、服のドレープ感なども惚れ惚れするくらいに滑らかで感嘆の声を上げてしまいました。
本家のボルゲーゼ美術館にはベルニーニの代表作「アポロンとダフネ」があるようなのですが、もうそれが見たくて仕方ない!


そして序盤で早速でました!
作品番号10番・ボッティチェリとその弟子達による"聖母子、洗礼者ヨハネと天使"
トンドと呼ばれる円形の絵画のこの作品は彼の作品でしばしば扱われるキリストと聖母マリアを描いたもの。

これは本当に見ていて飽きなかったなぁ。何がそこまで惹きつけるのかはわからないけれど。とにかく眺めていてとても心地よかったです。
とりあえずボッティチェリの作品は色彩感覚に富んでいてそこが僕の好みに合うことは間違いないです。


作品番号30と31・ギルランダイオによるレダとルクレツィアを描いた連作も好かった。
黒を背景としてそこに佇む二人の美女。
一人はギリシャ神話の大神ゼウスに愛されたレダ。もう一人は男からの陵辱を避けるべく自死を選んだ薄幸にして強き意志を持った女性ルクレツィア。
この対照的な二人の女性が同じ構図同じ背景で描かれたこの2作品はそれぞれの違う種類の美しさが表現されていました。
レダは幼さを残してどことなくアンニュイな表情。ルクレツィアはキリッとした目力から彼女の生き様を感じられる高貴な美。
どちらも綺麗だけれど僕はレダの方が好きでした。ていうかちょっと恋しそうになるくらい。かなりよかった。
写真はコチラから拝借。左がレダです。



他にも好きな画はたくさんあったけれど全部紹介するときりがないのでこの辺りで。
今回の作品群は総じて素晴らしかったです。
ルネサンスマニエリスムバロックと当時の芸術の移り変わりを断片的にとは言え肌で感じられたこと。
そしてボッティチェリの作品を初めて生で見られたこと。
なにより芸術の持つ魅力を改めて感じられたことが大きかったです。
これからも色々な作品展に行ってみたいと思います。