Sudden Impact

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映画「ダーティハリー4」 83年 米
監督:クリント・イーストウッド
主演:クリント・イーストウッド
出演:ソンドラ・ロック


時代は変わっても自分のやり方を変えようとしないハリー・キャラハン(クリント・イーストウッド)は上司達から疎まれる存在になっていた。
法を無視した捜査方法はもはや許容されない時代だ。
そんなある日、車の中から股間と頭を打ち抜かれた男性遺体が見つかる。
無理な捜査のために関係者から逆恨みを買っていたハリーは身の安全を理由にこの被害者の出身地であるサンポーロという町へ出張捜査にかり出される。
するとこの町でも連続して同じ手口での殺人が発生。
署長の妨害で捜査にはなかなか手をださせてもらえないハリーだが仲良くなったジェニファー(ソンドラ・ロック)という女性から少しずつ事件の真相が見えてくる。



満を持してといった感じでイーストウッド本人が制作・監督・主演を担当した大人気シリーズ4作目は興行的にもシリーズ最高の結果を獲得したという一作。
ただ僕はシリーズ中で一番楽しめませんでした。注)5は未見。
理由を端的に述べれば今シリーズの一番の魅力であるハリーのクールネスが今回は全く感じられなかったということ。
今作は今までにないくらい銃を使うシーンが多かったように思うのですが、このダーティハリーにとって最重要とも言える部分に迫力はなく”お約束”感すら漂う始末。
例えば前作までであれば映画の冒頭に必ず起きる小さな事件はハリーの破天荒ぶりを観客に見せつけるというサービス精神に溢れていたのですが、今作ではそれもイマイチ迫力に欠けるしあまり面白くない解決の仕方。
"Go ahead, make my day"という名台詞こそ飛び出しますが、それだけ。
そしてもう一つは物語の始末のつけ方。
連続殺人はとある人の悲しい過去が引き起こした事件なので、その動機には一定の共感というか情状酌量のような気持ちを感じはします。
でも、だからと言ってあの結末はないんじゃないか?
加害者の人権と被害者の人権というテーマが今作の基盤になっているようですが、あれではあの人も同じ理由で殺されて然るべきということになります。
被害者が加害者になるということを正当化してどうするよ。
今シリーズの最後はいつもハッピーエンドとは言えない無情感が満ちてはいますが今作は無情感というよりもただ空しいだけの結末でした。



ダーティハリー4 [DVD]

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