Limits of control

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映画「リミッツ・オブ・コントロール」2009米

監督:ジム・ジャームッシュ
主演:イザック・ド・バンコレ


以下公式サイトよりストーリー概要。



この映画、興味をもったのはふと街角で見かけたポスターのアートワーク。
「なんかおもしろそうだな」
それだけの理由でした。
つまり監督のジム・ジャームッシュに関しては全く過去作を見たこともないし、この映画の前評判も何もなしの状況というのが大前提。
で、鑑賞後の感想。
まずアートワークに関してはやはり好かった。
出てくる人物の衣装やロケーション、登場人物の設定等は面白い。
ただそのいわゆるセンスの好さみたいなところで物語自体をなんとなくアーティスティック風、この”風”というのがくせもので、結局この映画を通してずっとその雰囲気だけで押し通してお終いという映画でした。
話の大部分は主人公が同じ組織(?)に属する仲間と会って暗号のようなものをもらっていくというシークエンスで構成されていて、要はある程度決まったパターンの中で描くそれぞれの違いをどのように最後の結末に絡めていくのかというところに映画の肝がなければならないのです。
だというのに!!とにかく最後の部分が最低。
まず何が最低って、この映画で伝えたいのはこれなんですよ、という主題をこの劇中では悪の親玉ということになっている人物がセリフで全部言っちゃってるんです。
あのぉ、それって言葉にして言うくらいなら一般人である僕達よりよっぽど有名なんだから監督自身のブログでもtwitterでもインタビューでもなんでもいいからそのままの言葉で発信すれば?
それを直接の言葉でない手段で伝えるからこそ映画という表現方法が輝くんじゃないですかね。
終盤にいくまでのシークエンスでそれぞれの登場人物が主人公にする話というのが物語の主題を示唆していることはそれなりに理解力がある人ならわかることですし、それを最後にめちゃくちゃ具体的に語るくらいなら、そこに辿り着くまでの芸術的雰囲気全開みたいな、おしゃれでしょ?演出をやめた方がいいと思います。
あと、最後の部分で主人公が悪の親玉的な人物の部屋に厳重な警備がされているにも関わらずなぜかもぐりこめているのですが、その理由というのが「想像力を使った」て…。
そんなんもう何でもありやんけ!
そこまでさんざん普通の人間としてのキャラやったのに最後にいきなり超能力で解決とかさ。それこそまさにお話になりませんよ。
芸術的であることにあぐらをかいているだけの映画。
雰囲気に騙されるな!