9月10日 白川うどん・山下

このエントリーをはてなブックマークに追加

「次に行く店は白川うどんです」
うどんマスターにこう言われたとき筆者は乗り気ではないことをもう隠さなかった。
理由は二つ。
一つは満腹感。この時点で朝から4軒はしご中。さらに直近の2軒、山越えと谷川米穀店ではそれぞれ大盛りとおかわりをしていて、さすがに胃の中も許容量限界だ。
そしてもう一つの理由は、前述した2軒の店、つまり個人的に最も楽しみにしていた山越えと、うどんマスターが一番と太鼓判を押していた谷川米穀店を終えて、完全にやりきった感が頭をもたげてきてしまったこと。
「もう、いいんじゃねーか。ちょっと休もうや」
冗談半分、本心半分に投げやりな態度をとる筆者にうどんマスターは苦笑い。
「あ、あそこの山のところに金毘羅さんが見えてますよ。あとで行きましょう」
まるでわがままな子供をあやすように筆者をなだめるうどんマスター。
金毘羅さん?何で俺がそんなとこ行かなきゃいけないんだよ。お前が一人で行きゃあいいじゃねーか。ええ?行きなさいよ」
取り付く島もない筆者。
それでもうどんマスターはめげない。
「ちなみに次の白川うどんはシステムが面白くって、うどんのサイズは注文で決めるんじゃなくて、色々な大きさの器がおいてあるのでその器に合わせてうどんの量が決まるんです」
「え?」
俄然興味を引かれた筆者。単純である。
「そりゃあ面白いねぇ!」
「はい、そうなんです。それに次の店は大将がアームレスリングの選手ってところも特徴ですね」
「へー、なんかすごそうだなぁ。いいじゃない、いいじゃない!」
すっかり気を持ち直した筆者を乗せて車は進んでいく。
そして気がつけば辺りはすっかりお馴染みの田園風景に。
しかしこの店が今までと違うのは店の前の道が細いこと。
おかげで一度対向車をやり過ごすために苦労した。行かれる方は注意されたし。
で、無事に到着である。


今回の旅でのベストショット。讃岐の国の全てがここに集約されている。


お店の入り口。

アームレスリング…


しかし暖簾をくぐって筆者は戸惑ってしまう。
(器はどこに…?)
カウンターの向こうでお店の人もこちらを不思議そうに見つめている。
「ちゅ、注文はここですか?」
「はい、どうぞ」
思わず背後のうどんマスターをみる筆者。
すると奴は口パクでしかし確実に(変わってる!!)と半笑いである。
「えーと、じゃあ…」
筆者も半笑いで注文を通す。
お店の人は訝しく思ったであろうな。


20:かけ(冷)


結論から言えばかなり好きだった。
まず、いりこダシの味が最高。そして大将自慢の腕で作られた麺は本当にコシが強くて
「うどん食ってるなぁ!」
という感覚が心から楽しめる。コシの強さは今回の旅の中では間違いなく一番だ。
おかげであれだけ満腹だと嘆いていたはずの筆者はあっという間に一杯平らげてしまった。
それくらい旨かった。
トップブリーダーにも推奨します!


「正直、来るまではここの店をナメてたんだけどさぁ、食ったらほんと謝りたくなったよ。すんません!旨いっす!ってさ」
お店を出た頃にはすっかりテンションが上がった筆者。
「で、次はどこよ?」
勢いに乗る筆者にうどんマスターも嬉しそうに答える。
「はい。次は山下というお店なんですけど、もうここからは5分もあれば着きます!」
「え…?」
冷や水を浴びせかけられるとはまさにこのことを言う。
無言で車に乗り込む筆者。
そしてすぐに車は次の店に着いた。
この筆文字が憎い…。


「さあ行きましょう」
筆者は無言で頷いた。もう好きにしてくれ。

21:冷やし

味はあまり覚えていない…。


これでついに残すところあと一軒。
筆者の胃はもつのか、それとも…?
乞う御期待。