マニマニマニ

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政府紙幣について書く。
まず政府紙幣は債務ではない。現在の紙幣が日本銀行の発行している日本銀行券であるように、政府が発行する紙幣だから政府紙幣。よってこれをいくら刷ってみたところで日本の借金は増えない。むしろ減らすことが可能なくらい。
しかしだからといって無尽蔵に刷っていいものでもない。過剰な貨幣の流通はインフレの原因になるからだ。
それでは何故いま政府紙幣が取沙汰されているのか?それは日銀が紙幣を発行しないから。100年に一度といわれる世界的大不況にあえぐ日本は加えて数年来のデフレ経済から抜け出せないでいる。
デフレの原因はとてもシンプル。市場が必要としているお金の量と実際に流通しているお金の量に差があるからだ。これを需給ギャップと呼ぶらしい。
現状の経済状態は人間で言えば交通事故にあって出血と全身の骨折が酷い際に輸血は施さずにギプスで全身を固めることだけをしているようなものか。治療の最優先課題はまず輸血をして心臓の働きを維持することなのに器のことばかり考えていても命は救えない。
経済も同じように制度の改正や効率化を云々する以前にまずは市場へ潤沢なカネを流さなければいけない。
それなのに日銀は金利を下げる(これもだいぶ段階的で遅きに失した)以外に目立った決断をすることなくそのために日本はいつまでもデフレから脱却できないでいる。
今まではそれでも何とかやってきた日本経済だがもう疲弊は限界まできている。日本経済がここまで崩壊しているのは唯一好調だった輸出産業が異例ともいえるほどの円高によって業績を落としてしまったからだ。
すると日本の市場にはカネが入ってこなくなる。結果として失業者が増えたり給料が下がったりで消費行動が冷え込む。そうしてさらにカネが回らなくなる。あとはこれの繰り返しで螺旋階段を落ちていくだけだ。
そこで政府紙幣が登場する。日銀がカネを出さないなら政府が出すしかない。はっきり言ってどちらから出ようともそれが紙幣である限り違いなどなにもない。違うのは福沢諭吉の顔が大隈重信になるくらいか。
政府紙幣に否定的な陣営からは政府紙幣はインフレを引き起こすだとか円安を招くという懸念の声が上がっているが、インフレなんて起こるわけがない。むしろ今の日本はデフレで市場にカネがなくて困っているのだ。要は需要を超える額の供給をしなければ済む話だ。そして円安を招くとかいう意見は愚の骨頂。何度も言うが今の日本経済がこんなになったのは輸出産業が異常な円高のせいで被害を被ったからだ。すこし円安になるくらいなんだっていうの。
ちなみにこの政府紙幣はあくまで現在の非常事態に対する劇薬であって常備薬にしてはいけない。そのあたりは周到な法整備が必要になってくるだろう。経済のバランサーが権力と離れていなくてはならないのは当然だ。
あとこの政府紙幣を給付金と混同する意見もあるようだが、このカネの使い道は何も決まってなどいない。公共投資などの財政出動に使ってもいいだろう。肝心なのは市場にカネを流すことだ。