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黒田清輝展に行ってきました 

芸術
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お昼ごはん食べに外へ出たらちょっと肌寒いなと思ったんですが、ここ数日が暑すぎたんですよね。感覚が狂ってます。

GW狭間の金曜日に天気が崩れて週末にはまた暑くなりそうなんて、空模様はなかなか気の利いた演出をするものですね。

 

今日はサクッと仕事を切り上げて上野へ行きました。

目的は東京都美術館で大絶賛開催中の若冲展を観るため、だったのですが! 夜ならさすがに空いているだろうという目論見はもろくも外れて人・人・人の大行列。それでも昼間に比べれば短い待ち時間なのでしょう。とは言え閉館時間の20時まで30分もないときに入館してもなあということでチケットだけ先に購入して急遽予定変更。

すぐ近くの東京国立博物館にてこちらも絶賛開催中の『黒田清輝展』に行ってきました。こちらも行かなきゃな〜と思っていたので全く問題なし! で、なんなら内容もすっごくよかったので結果的には大変良い予定変更となりました。

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黒田清輝というと美術の教科書で必ず取り上げられる日本人画家なんていう説明が一般的なようですが、こと自分に照らし合わせるとまったく記憶に無いんですよね。当然、彼が日本における西洋絵画の道を切り開いたことも知らなかったし、『湖畔』や『読書』などの代表作にもまったく馴染みがありませんでした。

それがどうして黒田清輝に興味を持ったかといえばご多分に漏れず過日タマフルでやった特集を聴いたからに他ありません。


宇多丸が松嶋雅人と『黒田清輝』を語る

 

それを踏まえて鑑賞したこともあってか入り口すぐに展示されていた『婦人像(厨房)』を観て「そんなに下手じゃないじゃん」と思ったのは大変失礼な話。

展示会では彼の写生帖なんかも展示されているのですが、そこにササッと描かれた人物デッサンなんかを見るとそりゃ上手いです。ただ風景画はあんまり強くないかな。どちらかと言うと人物造形に長けている人なのかなという印象を受けました。

 

この展覧会は黒田清輝の膨大な作品を展示するのはもちろんのこと、彼が師事したラファエル・コランの画や、彼が影響を受けたとされるミレーなど有名画家の画なんかも展示されていて実はめちゃくちゃ見どころがあります。

特にコランの画は黒田清輝と向かい合いで展示されており、それがため黒田清輝には酷なことなのですが「さすが師匠!」と気がつけばコランの作品ばかり熱心に観ることになりました笑 (ミュージアムショップでも本当はコランの画が欲しかった)

 

 とは言え黒田清輝がフランスを離れ日本に戻ってきてからの作品には確実に彼のアイデンティティが備わっており、技術の高低だけでは測れない魅力を発揮していました。つまり西洋画の技法や表現形式を日本の風土や景色の中にいかに応用していくのか、この部分にこそ黒田清輝の本領があるように感じました。

そこで出て来るのが『湖畔』であり『舞妓』という彼の代表作ですね。ただ、個人的には作品番号156の『野辺』にいちばん目を奪われました。

上述した師匠コランが描く画を黒田清輝にとってひとつの理想と捉えるのならば、その理想を彼が実現できたとは思えません。あまりに表現力が違います。ただこの『野辺』において黒田清輝はコラン的な題材、コラン的な表現をベースにしつつもコランとは確実に違う表現を獲得したように感じました。敢えて言えばそれはファンタジー対リアリティーで、黒田清輝の描く生々しい女体がとても良かった。

 

閉館まで時間がなくて終盤を少々駆け足で観ることになったのは残念なのですが、各時代ごとにテーマをもった展示が施されており最後まで興味深く鑑賞することができました。

展示会終了までもう時間も限られていますので、もしまだ行かれてない方がいらっしゃいましたらぜひ足を運んでみると良いかと思います。

いやーほんと思い出すだに素晴らしい展覧会でございました。