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出産・子育て奮闘記『ママだって、人間 』を読んだ。

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田房永子(たぶさ・えいこ)さんの『ママだって、人間』というマンガを読みました。

 
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きっかけは作家の樋口毅宏さんによる激賞コメントを読んだこと。
1人の人を、それも信頼に足る書き手であり読み手である人を動かした作品であれば読んで損はないだろうと。
果たしてこの信頼は裏切られませんでした。
 
まず言っておくと僕は平均的な男性(もしそのようなものがあれば)よりは世のママ達への理解があるほうだろうと思っていました。
一応『ダイバーシティ推進プロジェクト』とか参加してたし、なんならリーダーやってたくらいなんでね(ドヤッ!)
 
 
でも全然だったわ!
 
 
もうこれ読んだら自分の認識が甘々過ぎて読む前の自分を自分で亀甲縛りしてベランダから吊るし上げてやりたいくらいです。「わたしがバカでございました」と。
まあ、やりませんけど。
 
 
このマンガのミソは、いやきっと素晴らしい表現に通じるのは、世の中の『当たり前』に違う角度から真っ直ぐ正直に向き合って時に壁を壊したり、またある時にはその壁に思い切り鼻っ柱を折られる姿すら隠さずに晒す覚悟にあると思います。
その点で言うと、このマンガは徹頭徹尾明け透け。
 
 
『母性』という言葉で出産にまつわる苦労を片付けた高校時代の恩師に抗うも、結局は自分もつわりの苦しみにはその言葉が1番効いたと理解したり、出産直後には生まれてきた我が子に感動するも、翌日には「大変なものを生んでしまった…」と絶望的な気持ちになったことを吐露したりするパートは『対自分』で表出した悩みや葛藤、そしてそれを乗り越えたきっかけについて語っていきます。
 
 
一方で『対社会』としては、出産前の「痛いよ」と産後の「大変でしょ」という周囲からの言葉にまずは立ち向かいます。ここで作者は「求められているのは『でも子供は可愛いので平気です』という答えだった」と喝破。そして初めこそ違和感を拭えなかったのに次第にそんな受け答えを自然にできるようになっていく作者の姿は、同じような疑問を持っている(た)ママ達にとってはきっと胸のつかえが取れる一助になるし、自分も無意識的に『良きママ』像を押し付けてしまわないように注意しようと思わされました。
 
 

最もママへの理解が改まったのは、やたらに自分の子供を悪くいうママが出てきたお話。公共の場所でもママの集まりでも子供がクズれば「泣き虫ですいません」とすぐに謝り、一方でおとなしくできる子供には「お利口さんですね」と褒める。さらにはひたすら電車の中でベビーカーと共に小さくなっているママの姿も。

彼女たちはとにかく先手を打って非を認めている態度を表明します。それは周りに迷惑をかけないことを価値基準にしているから。

でもそんな現状で得してるのは誰なんでしょう?

卵が先かニワトリが先か、別に周囲は気にしていないのに勝手にママが気を使いすぎているのかもしれません。それは本当にわからない。

でもそうやって悩んでいるママがいることを知るだけでもいいのかなって、そう思ってます。少しずつ相互理解を広げていく。この漸次的な取り組みがやがて『空気』を変えていくからです。

 

このマンガ、終盤で作者の田房さんが苦しみ悩んで逃げ出しそうにもなるんですが、最後に戻る場所は子供であり、共に苦しみ悩んでいたパパでした。

ひとりじゃないって思える場所、それが見つけられたらきっとなんとかなるのかな。

 

もう男はみんなこれ読むといいし、進行形でママになりそうな人も、これからなるかもしれない人も、もうなってる人もこれを読めば『ひとりじゃない』ってきっと楽になるんじゃないかなって思います。

オススメ!

 

 

ママだって、人間

ママだって、人間