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ホームレス理事長

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映画『ホームレス理事長』

監督:土方宏史

 

http://www.homeless-rijicho.jp/

 


映画『ホームレス理事長 ~退学球児再生計画~』予告編 - YouTube

 

この男は事実存在する!

熱血目情熱科脳内筋肉属の絶滅危惧種、それがNPOルーキーズ理事長の山田豪その人だ。

この男はとにかく熱い。あまりの熱さとひたすら誠実な姿勢にいますぐアンナの元カレから誠意大将軍の称号を奪い取って彼に戴冠してもらいたくなる。

2010年に「挫折した子どもたちにセカンドチャンスを」という思いからNPOを設立し2年経った。

その間に抱えた負債は積もり積もって1300万円。理想を叶えるのはかくも困難で、一般人ならやがて当初の目標や理想などかなぐり捨てて甘い汁を吸いたくなる時期だろう。

しかしこの男は違う。ひたすらに理想を追い求めて賛同者確保という名の金策に明け暮れる。決してへこたれない。例え電気水道ガス代が払えずに真っ暗な部屋で寝泊まりしようとも、アパートの家賃も払えずホームレスになってしまってもただひたすら子どもたちのために今日も頭を下げ続ける。佐藤隆太もびっくりのリアル川藤先生なのだ。

その私利私欲を持たず一心に子どもたちの未来を願う姿は胸を打つ。

けれども見方を変えるとこの男、ただの脳なし、まさに脳内筋肉属の分類分けがしっくりくることも確かだ。

 

 

ある日のこと野球部の監督がミーティングでこうぶち上げた。

「あんたはバカだ。理事長なら戦略をもって動かないと」

毎日毎日汗水たらして支援してくれる人を探して駆けずり回るだけではいつまでたっても自転車操業から抜け出せない。戦略的にNPOを運営しないとと言う監督の指摘はもっともだった。

事実、山田は借金の返済が追いつかず密着するテレビクルーに金の無心をする。カメラの前だろうがお構いなしに土下座までして顔中を涙で濡らして懇願する様には観ているこちらも胸が痛む。

さらにはヤミ金にまで手を出してNPO存続を図ろうとするなど、その場しのぎで行き当たりばったりの行動を観るとこちらも監督と同じく「あんたはバカだ」と言いたくもなる。

さて監督にキツイ一言をもらった山田は新たな一手に出る。

しかし次の瞬間スクリーンに写ったのは床屋の外観。嫌な予感……。

案の定まる坊主になった山田はさっぱりした頭とすっきりした気持ちで次の一手を明かした。

「今日は百軒まわりますよ!」

 

そうじゃないだろ!!

と劇場内の心がひとつになった。山田の熱い心はやはりすごいのかもしれない。

 

 

この『ホームレス理事長』は東海テレビ製作のテレビ用ドキュメンタリー作品だった。しかしその内容が物議を醸してテレビ放映はもうされないと言われている。

具体的には野球部の監督が部員のある少年にビンタを9発くらわせる映像が問題となったようだ。

自分の境遇を嘆くばかりでなにもせず救いが向こうから勝手にやってくることばかりを期待する少年は、両親とケンカをした勢いで自分の手首を切った。それを聞いた監督は命を粗末にしたことと卑怯な手段で親を悲しませたことを少年に反省してもらおうと手を出した。

「お前だけが辛いんじゃない」

監督が言った言葉がルーキーズを表わしている。ここにいるのはみんな何かしらの理由で道を踏み外したルーザーズ。それでも理事長である山田の頑張りをムダにしないよう日々奮闘している。

なにがあろうと体罰は良くない。しかしそこに至るまでの文脈には目を向けず9発のビンタという事実だけを問題視してテレビ放映がされなくなったらそれで良いのだろうか。

開沼博氏が言うところの『漂白される社会』でそこにあるはずのものに目を背けても、体罰はまたどこかで起こっている。

それならばきっぱりと事実を事実と認めて、それがなぜ起きたのかや今後どうすれば体罰が減っていくのかを考えていけばいいと思った。

 

NPOルーキーズは今もなんとか存続しているそうだ。

 

http://www.rookies.or.jp/

 

自分には直接的な資金援助などは到底出来そうもないのでせめてルーキーズと山田理事長のことを少しでも多くの人に知ってもらえたらと考えてこの記事を書いた。

結局のところ僕は山田さんみたいな人が大好きなのだ。ぜひこれからも子どもたちのために汗をかきつづけて欲しい。