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2013年 上半期映画 その2

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さきほど「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ」を観まして、上半期の最後の最後にけっこうガツンとやられたところです。トップ10に食い込まさせてもいいレベルなんですが前回6位までやっちゃって、上位もすでに固めてしまっているのでこのまま行きます。
プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ」いいぞ!ということだけここで触れておきます。



それでは2013年上半期に劇場で見た映画からトップ5のご紹介でございます。


5位 横道世之介



正直、初めの30分くらいはまったくノレませんでした。80年代後半の東京が舞台で、その頃に青春を謳歌していた人たちへのサービス映画くらいにしか見えなかったので。
でも徐々にこの映画の独特のテンポがクセになって、最後にはこのままダラダラとこの映画を見続けていたいと思うくらいにズブズブにのめり込んでいました。
この不思議な感覚は何なんだろうと考えると、これって劇中で主人公の世之介を周りの人々が受け入れていくのとまったく同じ体験なんですよね。
人との距離の取り方が微妙にズレていて図々しいところがあるのだけれど、根っこの明るさと愛くるしさのせいもあって憎めない、そんな世之介を受け入れていく登場人物たちのことを追体験しながら映画を観る。そんな不思議体験がこの作品の魅力です。
そして今作で絶対に外せないのが吉高由里子演じる与謝野祥子と世之介の恋愛模様。
「なにこの多幸感!!」ってくらいにとにかくこの二人を見ているだけでこちらがニヤニヤしてしまう。
このふたりはお互いにどこかズレていて、そのズレがうまく噛み合いそうで噛み合わない少し噛み合った時に生まれるサムシングがたまらんのですよ。
ときめきが「理解の入り口に立った時に生まれる」ものだとすればその瞬間に立ち会えるまたとない機会です。
ふたりが雪の中で抱きあうあのシーンはこちらの高揚感をそのまま表現してくれたとしか思えないカメラワークが最高すぎました。思い出しただけでアガる!
Best Couple Ever!!


4位 きっと、うまくいく (原題:3 idiots)



世界最大の規模を誇るインドの映画産業。そのボリウッド史上最大のヒット作であり、インドアカデミーでは16部門で賞を獲得したのがこの作品です。
上映時間が3時間近くあるのですがぜんっぜん問題なし!むしろ「もう終わり?」って思うくらいにとにかく楽しい!
この映画、なにがすごいって1作の中にコメディ、ラブ、サスペンス、ヒューマンドラマその他とにかく人間の感情に作用するありとあらゆるものをぶち込んで、それがまったくお互いを阻害しないで共存しているんです。
インド映画に欠かせない歌と踊りのシーンで映画の中も観ている側もテンションガン上がりのところに突然とんでもなくシリアスな展開を持ってきたり、その逆にけっこう緊迫した中に爆笑必至のシーンを挟んだりと、人を楽しませることに貪欲な姿勢に敬意を表さずにいられません。
老若男女だれに紹介してもぜったいに外さない、それほどの自信を持って紹介できるマストウォッチな作品です。


3位 ライフ・オブ・パイ (原題:Life of Pi)



きっと、うまくいく」に続いてインドもの。とはいえこちらはハリウッド制作。監督は台湾人のアン・リーと多国籍な感じもいいですね。ちなみにこの作品でアン・リーは2度目のアカデミー監督賞獲得でございます。
圧倒的に美しく荘厳だった海のシーンや、リアルとしか思えないくらいに実在感たっぷりだったトラ(そのほかの動物も然り)の表現など映像の力を堪能するにはうってつけ。このご時世にまだまだ映像美でここまでフレッシュな驚きを与えてくれる作品があることがほんとに嬉しいです。
たくさんの示唆を与えてくれる物語も大変素晴らしかった。
主人公のパイは幼い頃から物思いに耽る少年。彼は様々な宗教を渡り歩き、どんどん哲学の領域に入り込んでいきます。そんな彼にもやがて恋人ができて若者らしいハツラツとした日々を過ごしますが、家庭の事情でカナダへ移り住むことになります。動物園を経営していた一家は動物たちと共に船でインドを出発します。
だが嵐にあって船は大破。命からがら生き延びたパイは小さなボートに逃げ込みますが、そのボートにはなんと動物園で飼育していたオランウータン、ハイエナ、シマウマそしてトラが乗り合わせることになったのです。
まずこの展開、果たしてパイが同乗したのは本当に動物だったのかという疑問があります。もちろん捉え方は各々あっていいと思うのですが、リチャード・パーカーというトラの名前が暗示するものは何なのかを調べるとなかなか興味深いですよね。
そしてパイが漂う海。これはパイの精神世界そのものと捉えることができると思います。色々な宗教を渡り歩くも自分について肝心の答えを見いだせないままでいる彼の「こころ」こそ大海原に漂う小さなボートのようなものです。
その海で何度も死にそうになりながらサヴァイヴして辿り着いた彼はいったいどんな答えを手にしたのか。
この映画は決してその答えを明示しません。でもそこがいい。良い物語は答えを教えてくれるものではなく、こちらに質問を投げかけてくれます。
「お前はここからなにを感じる?」そうやってこちらに人生のエトセトラについて考えるきっかけを与えてくれる作品を僕は支持したいです。


2位 シュガー・ラッシュ (原題:Wreck-it Ralph)



ディズニーの子供向け映画と思ってなめたらあかん!
「アニメはジブリピクサーなら観るけどぉ」とか言っちゃうそこのあなた!ここ最近ふるわないピクサーよりもスーパークリエイターであるジョン・ラセターが製作総指揮として辣腕ふるいまくってる今のディズニーこそ見るべきなんですよぉぉぉ!!
と熱弁振るいたくなるくらいにピクサーから彼が本家ディズニーに移ってからの作品はまさにディズニーアニメの新たなクラシックス確定の傑作揃いなわけです。
で、このシュガー・ラッシュはその中でも決定打。
ゲームの中で悪役を演じる主人公のラルフはゲームでの役割を終えた後も仲間はずれにされているかわいそうなキャラクター。そんなゲームの悪役たちが集うグループセラピーの場で「俺だってヒーローになりたい」と打ち明けますが、周りからは体よくたしなめられてしまいます。(このシーンで出てくる悪役たちの哀愁がたまらん!)
しかしヒーローへの願望が抑えきれないラルフは自分のゲームを飛び出して、他のゲームに侵入して・・・ってこの辺りは「トイ・ストーリー」にも通じる、人間の知らない所で自由に動き回るキャラクターたちを観る楽しさがあります。
そしてシュガー・ラッシュというゲームに乗り込んだラルフはそこで彼と同じように爪弾きにされているキャラクターのヴェネロペという小さな女の子と出会います。
粗野、に見られるけれど本当は心のやさしい、大男と女の子が引き起こすドタバタ・・・ってこの辺りは「モンスターズ・インク」っぽいですよねぇ。
シュガー・ラッシュレーシングゲームです。いつも仲間はずれにされているヴェネロペはレースに出るためにラルフと結託して車を調達し、運転の練習をして、ついにカーレースへ・・・ってレースのシーンなんかには「カーズ」のダイナミズムもあったりします。
要はこの映画、ピクサー「は」好きなんていう人こそ観たら間違いないんです。
細かく張り巡らされた伏線が回収されていく盤石のストーリー運びもピクサー顔負けですしね。
でも、本当に素晴らしいのはエンディングです。
あんなオシャレな終わり方・・・好きに決まってるやろ!!
男泣き確約です。



1位 二郎は鮨の夢をみる (原題:JIRO DREAMS OF SUSHI)



アメリカ人監督が銀座の超名店「すきやばし次郎」の創業者・小野二郎さんとその息子さんたちの仕事に密着したドキュメンタリー映画。
見終わった後は昇天しましたね。かっこよすぎる!ここに出てくる人たち、みんなおっさんばっかなんですけど(笑)築地のマグロ仲買人さんも、米屋さんも、もちろんすきやばし次郎のみなさんもとにかく男の渋みがプンプン染み出まくっていてほんと魅力的。
さらに映像がすんばらしい!もはやアートと言っていいくらいに美しく切り取られた鮨の画!画!画!
前に感想書いてるのであとはそちらで。


日本の魅力を再発見するという意味でも、労働というものについて考える格好の教材としてもオススメですね。