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「原発」国民投票

社会
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読みました。



関心が高まっている「原発」を題材にしているけれど肝は民主主義を自分たちの手に取り戻すこと。反原発プロパガンダや、もちろんその逆でもないので偏見を持たずに読んでみて欲しいと感じました。
そもそも今のところ日本では改憲についてのみ国民投票を行う下地ができています。けれど僕たちが自分の意志で決めなきゃいけないことは他にもあるわけで。原発どうすんの?ってのもそのひとつ。だってこれで自分達は多少の不便も承知でこれから生活していくのか、それともこのまま大量消費社会に邁進していくのか、これからの生き方を決める問題なわけですからね。


でも、じゃあ議会って何よ?って話なのですが。
野党が与党を糾弾する際にお約束のように言われるのが「総選挙で民意を問え」の一言。
でもそれがどこまで正確に民意を反映しているのかは疑わしい。
ある代議士Aに投票したことがそのAの掲げる全ての政策に同意してるとは限らないし。
それに前の衆院選東京1区では海江田万里与謝野馨が対立で前者が当選。
与謝野もけっきょく自民党の比例枠で復活当選したけれど、これは一応定められたルールに則っているからまあ良しとしよう。
問題はその後。自民党を割って新党を作った与謝野はそこも飛び出して気がつけば管内閣の閣僚に。
って、これって東京1区の民意はおもいっきりないがしろ。
さらには民主党マニフェストみたいに選挙の時だけ調子の良いこと言っておいていったん議席を奪ったら反故にされたんじゃあかないません。(もちろんそんな政治家や政党に次はないでしょうが)



だからこそ、国民の生活を根底から変えるかもしれないようなトピックについては直接国民の意思が反映されるべきという著者の主張は説得力があります。
全部で5章からなるこの本は、そもそも国民投票ってどんなの?という基礎知識から、諸外国で行われた国民投票の実例、日本で国民投票を行うにはどのような過程を経るのかまでを網羅した、言わば国民投票の教科書。
最後の章では実際に原発の是非を問う国民投票が行われることになったという体で、推進派・反対派双方の主張を取り上げ僕たちがいざ自分で考えるということになったときのシミュレーションの機会まで与えてくれます。
この章は原発についての復習にもなるし、その他の発電方法の実体なんかも学べてお得。



311以降、原発については僕を含め「何となく嫌だなぁ」=「消極的賛成」という人が少なくないと思う。
でも自分の意志を票として託すことが出来れば、賛成・反対はともかく意識的に問題と向かい合う人は絶対に増えるはず。それは日本で行われた数々の住民投票が物語っている。このあたりもこの本にルポが載っているので読んでみるといいと思う。



国民投票衆愚政治に陥ると懸念を抱く「有識者」の方も大勢いらっしゃるでしょうが、それは大多数の国民が考える機会をもたずにのうのうと生きてきてしまった結果。
だからこそ一人一人が自分の頭で考えたり周りの人と話し合ったりしながら人任せじゃない民主主義に参加する経験を重ねていくしかないでしょう。


国民投票実施、僕は賛成です。


「原発」国民投票 (集英社新書)

「原発」国民投票 (集英社新書)