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Scott Pilgrim vs. the World

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映画「スコット・ピルグリム vs 邪悪な元カレ軍団」 10年 米
監督:エドガー・ライト
主演:マイケル・セラ


へなちょこで定職にも就いていないスコット・ピルグリムマイケル・セラ)はある日、女性の夢を見た。明くる日にパーティで夢に出てきた女の子を見かけたスコットは一発で恋に落ちる。猛アプローチが功を奏し彼女ラモーナ(メアリー・エリザベス・ウィンステッド)といい仲になるがそこに突然彼女の元カレだという男が現れて勝負を仕掛けてきた。とまどいを隠せないスコットにラモーナは「私と付き合うには7人の元カレを倒さなくてはいけないみたい」と告げる。


あらすじ、アートワーク、登場人物(特に主人公)を見ただけで明らかに”あちら側”に対する”こちら側”の匂いに満ちた今作。それもそのはずで監督は前作「ホットファズ」において田舎のボンクラ警官に自分のハリウッド・バディムービーへの愛を投影し、頭の中で思い描いていたシーンを本当に撮ってしまった新世代のオタク監督エドガー・ライト
原作はカナダの作家ブライアン・リー・オマリーによる漫画なのだが、この漫画が誕生する経緯というかきっかけになったのが、なんと1989年にビッグコミックスピリッツで連載されていた「サルでも書けるまんが教室」だというのだ。原作者のブライアンは英語翻訳されたこの本を読んで、その中で語られていた「絶対売れる少年漫画はバトルの串団子だ」という教えを忠実に守った結果、男の子が好きな女の子と付き合うために元カレと戦っていくというストーリーにたどり着いたという。
奇しくも日本にゆかりのある作品となった今作だが、日本の文化が影響しているのはそれだけではない。全編に渡って多用される数々のゲーム音楽も今作を語る上では外せない要素だろう。BGMでゼルダの伝説の音楽が流れたり、バンドでベースを弾いているスコットが「こんなの思いついた」と言ってファイナル・ファンタジーの曲を演奏したりと劇中に散りばめられた日本の漫画・ゲーム文化へのオマージュを拾い上げていくだけでも充分に楽しい作品だと思う。
ついでに加えれば、作中で使用される音楽はベックが実際に制作していたりナイジェル・ゴドリッチが監修を担当していたりと、とにかくサブカル的な話題には事欠かない。
だからこそ今作は同じ趣向を共有する同士に観てもらえればまず間違いないと言いたいところなのだが、僕はこの映画に素直に入り込めなかった。
理由はただ一点。主人公のスコットが割とリア・充なんだよ!ラモーナと出会う前から年下の可愛い彼女はいるわ、妹も可愛いわ、バンドは結構順調にコンテストを勝ち上がっていくわ、元カレに勝負を挑まれても割と簡単に倒しちゃうわ、そもそもラモーナともすぐに良い関係になって悩みと言えば二股がラモーナにばれちゃうぅぅ!ってそんな奴、応援できるかぁっ!
おかげで、すわ途中退席か!?となりかけたそんな僕の視線をスクリーンに釘付けにしてくれたのはスコットのラモーナと出会う前の彼女ナイヴス(エレン・ウォン)と妹ステーシー(アナ・ケンドリック)の可愛さだったっていう、もう自分が嫌になる結論。でも、ここに関してはエドガー・ライト監督とは大親友になれそう。ということで、この二人の存在が唯一にして最大のノイズをかき消してくれたため、見終わった後は「あーおもしろかった!」と大満足で帰路についた僕なのでした。
と、ちょっとネタっぽくなったけど漫画原作の映画への落とし込み手法として、とても面白い試みが行われているし、編集のテンポも抜群に良くてマジで楽しめる一作だと思います。もっかい見たいなぁ。オススメでーす。