短時間睡眠法を成功させるために必要なたった1つのこと

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トニー・シェイ著「ザッポス伝説」を読んだ。
あのAmazonが自社最大の買収額で買収、しかし会社名もサービス内容にも一切手をつけないままでいるというeコマース会社、それがザッポスで著者のトニー・シェイはそのCEO。
ザッポスのサービスどのようなもので、それがなぜ多くの人々に愛されているのかは会社名でググってもらえればおおよそがわかるだろう。
端的に言えばザッポスのサービスの要は顧客の期待を良い意味で裏切り常に「ワオ」という体験を与えようとする姿勢だ。
通常であれば注文から自宅に商品が届くまでの時間が2,3日かかるところを無料で即日配達にアップグレードする。
コールセンターへの問い合わせには顧客が満足いくまで対応し続ける。最長時間は6時間!
などなどその例をあげれば枚挙にいとまがないほどだ。
小さい頃から様々な事業を立ち上げて、若くして億万長者になった起業家の半生とザッポスで作り上げてきた独特な企業文化の神髄が詰まった読みやすい本だった。


しかし僕がこの本を読んでいて幾度となく「ん?」と思ったのは上記したような今作のメインパートではない。
では一体この本のどこに僕は引っかかったのか。そこに話を進める前にまず言及しておきたいのはみんな大好きライフハックのその中でも特に人気トピックである短時間睡眠法についてだ。
やれ、「規則正しく生活しろ」だの「睡眠の3時間前までに食事をすませろ」だの、果ては「オナニーは控えめに」なんて助言まであるこの短時間睡眠法。
仕事に忙しくプライベートの時間がなかなかとれない人などが時間を捻出するために睡眠時間を最小限に抑えたいというニーズに応えるべく編み出されたのがこの短時間睡眠法。
実は僕もものは試しにと実行してみたことがある。が、結果は惨憺たるもので結局起きなきゃならないギリギリまで寝てしまう始末。
でもこれって当然の結果とも言えるわけ。なんせそこまでして早く起きてやらなきゃいけないこと、やりたいことなんて特別なかったんだもの。
トニー・シェイが著書の中で言及するのもこれと似たようなこと。
例えば136ページ*1。ここでは彼が起ち上げたリンクエクスチェンジという会社が成功を収めてどんどん規模を拡大していく過程で、次第に会社の中に自分の居場所を失ってしまったことに気がついたと述懐されている。
そのとき彼はこんな状態に陥っていた。以下抜粋。

ある日、私は目覚ましのアラームを六回止めて、ようやく目を覚ましました。そして七回目のアラームを止めようとしたところで、突然気づいたのです。最後にこれほど何回もアラームを止めたのは、オラクルに出社するのが嫌で嫌でたまらなかった時でした。同じことがまた起こったのです。


ここから言えるのは朝なかなか起きられない一番の原因は起きたくないからというそれだけの理由だということ。
学校に行きたくない、会社が嫌だ、休みの日にやることなど特にない、となれば自然とベッドの中で過ごす時間が増えていくわけだ。
そして毎日にワクワクして心が躍っているのならばそれが何より早起きの秘訣だということがここでは逆説的に語られている。
ちなみに彼が朝起きるのが嫌だったというようなことをわざわざ書いているのは上で引用したところだけではないので悪しからず。
ライフハックと称して質の良い睡眠法を実践するのは良いことだと思う。けれど結局はそこまでして睡眠時間を削ってやりたい、またはやらなければならないことがなければそれらの努力は水泡に帰すのがオチだろう。
短時間睡眠法を成功させる一番の秘訣は「朝、起きたい!」という極めて単純な、けれども手にするのは容易でない気持ちなのだとこの本から学んだのだった。


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*1:僕が読んだのは電子版なので単行本ではページ数が違うかも。