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Until The Light Takes Us

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映画「ライト・テイクス・アス 〜ブラックメタル暗黒史〜」 08年 米
監督:Aaron Aites


過去のノルウェーブラックメタルの一連の事件に関する、ヴァーグ・ヴァイカーネスの独占インタビューと、初期の黒魔術傾倒によって引き起こされた教会放火の歴史、社会現象になったブラックメタルイデオロギーを記録したドキュメンタリー。
from 松島・町山 未公開映画際HP


音楽は割と幅広く聴く僕がどうしても鼓膜を委ねられないジャンル、それがメタル。
この映画はそのメタルのなかでも極めてダークな趣を売りにしているブラックメタルについてのドキュメンタリー。
ということで観るのにじゃっかん抵抗があったのだけれどこの映画、音楽の話が肝ではなくてノルウェイブラックメタルシーンでしのぎを削った二人の男についての話が中心。
一人は国内のメタルシーン勃興の立役者ヴァーグ。もう一人はそんなヴァーグに触発されながら共に黎明期を過ごしたギルヴ。
ヴァーグは圧倒的な実力と音楽的なビジョンを持っていたが、徐々にブラックメタルの持つアンチクライストの思想に傾倒していき音楽そのものからは外れていく。
それを苦々しく思うのはギルヴだ。
ヴァーグが自分よりも凄い音楽を作れる才能がありながらその力を行使しないこと、そして思想的活動が行き過ぎたために大衆からブラックメタル悪魔崇拝主義という誤った印象を与えて活動をし難くさせられたことが許せない。
今では二人とも年をとりヴァーグは教会放火の罪などで収監された刑務所の中で今も思想を研ぎ澄ましながら生きている。
ギルヴも相変わらず音楽のことだけを考えながら活動を続けている。
自分よりメタルシーンを引っ張るべき実力と考えを持った人間がいることを知りながら音楽をやり続けるのはなかなかに自尊心が傷つくことだろう。
しかし、それでもやり続けるギルヴの姿には胸打たれた。
彼は決して口にしないが、きっとかつての友がいつでも帰ってこれるように舞台を守り続けているはずだ。
だからこそヴァーグの断固たる姿勢が歯痒くて仕方なかった。
嗚呼、友情とはなんと悩ましいものなのか。