Surfwise: The amazing true odyssey of Paskowitz family

このエントリーをはてなブックマークに追加

映画「サーフワイズ 〜ユートピアを目指した放浪大家族〜」
監督:Doug Pray


実在するサーフ界の伝説の家族「バスコウィッツ一家」を追ったドキュメンタリー。スタンフォード大学卒の医者でありサーフィンを楽しむモテモテのドリアン。だがその裏側や、家族の本音は…。
from 松島・町山 未公開映画際HP


サーフィン黎明期のレジェンド a.k.a ク○ニで人生を悟った男、ドリアン・パスコウィッツ。
名門スタンフォード大卒で、一時期はアメリカ政府の職員としても働いていた彼がそれまでのキャリアを捨てて愛と性欲の日々に駆けだしたのはビーチでひっかけた女性に教えてもらったク○ニのせいだった。
って、もちろんこれは数あるきっかけの一つに過ぎないがあまりに衝撃の事実だったもので‥。
行き過ぎた文明化、守銭奴達の跋扈する資本主義社会に嫌気が差していたパスコウィッツは人間の幸福をそこには見いだせなかった。彼が共感を覚えるのはもっと原始的で本能的な動物たちのような生活。
同じ価値観を共有できる女性を見つけた彼は小さな車に大きなサーフボードを乗せてアメリカ中を旅に出た。
そのうちに一人また一人と子宝に恵まれた夫婦は小さな車を中古のキャンピングカーに換えて9人の子供達とサーフィンをしてまわる生活を続けた。
普通の子供達のように学校へも行かせてもらえず、ビデオゲームで遊んだり、甘いお菓子を食べることもできない、知らない生活。
来る日も来る日もサーフィンに明け暮れる子供達はやがて大会で上位を独占するようになる。
有名企業のスポンサーを受けて少しずつ外界の味を覚えた子供達の中にはついに親の支配を逃れて独自の生活をするものもいた。
抜群のスター性をもった子供達だったが基本的な教育を受けていなかったためにビジネスを回すことには不得手だった。
お金を巡るトラブルで疎遠になってしまう家族。
父親のドリアンは我関せずとハワイで悠々自適の生活。
かなり極端な思想の持ち主を親に持ったパスコウィッツ家の子供達が大人になり突然現実に放り出されてしまうあたりは恐怖さえ感じてしまう。
文明社会で生きていくための知識をなにも与えずに自分は大好きな奥さんと楽しく暮らしている姿を見てドリアンに怒りを覚える人もいるかもしれない。
けれども、不思議なことに長い時を経て再会を果たすこの傷だらけの家族はまるでそれがずっと続いていたかのような穏やかで愛に満ちた時間を過ごす。
血のつながりというものはまことに非論理的なものなのだ。