Jesus Camp

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映画「ジーザス・キャンプ〜アメリカを動かすキリスト教原理主義〜」2006米

監督:Heidi Ewing(ハイディ・ユーイング)
   Rachel Grady(レイチェル・グラディ)


キリスト教福音宣教会のフィッシャー女史が主催する、子供のサマーキャンプを追う。全米・全世界の福音宣教会信者の家庭から子供たちが参加するキャンプでは、子供たちに原罪を懺悔させ、中絶反対を説き、キリスト教を推進するブッシュを奉っていた。
from 松島×町山 未公開映画祭HP

東京MXテレビで絶賛放映中の松島・町山 未公開映画を観るTVで日本初公開された数々のドキュメンタリー映画の数々。
残念ながら放送地区に住んでいない、または住んでいてもテレビを持っていない僕はそれらの映画がオンラインでVOD配信されるというニュースに小躍りした。
提供されている映画は全部で39作品。正直なところ中にはあまり興味をそそられないものもあったりして、配信終了日(来年1月25日)まで見放題のフリーパスにするか5本で2000円(一作ごとは500円)のコースにするかで大いに悩んだ。
だが実は悩み深い最大のポイントは配信終了日までに39作品全てを観る時間があるのかどうか、だった。
けれど僕はフリーパス選んだ。
観られるかな?じゃない、観るんだよ!と自分を奮い立たせて僕はマウスをクリックしたのだ。
だって、こんな宝の山を目の前にしてグジグジ悩むなんて馬鹿らしいもんね。


最初の作品として鑑賞したのは今回の作品群の中でも指折りの話題作ジーザス・キャンプ。
この映画の話を僕が初めて耳にしたのは今はなきTBSラジオストリームの人気コーナー「コラムの花道」で町山智浩さんから。
放送が2006年10月3日なのであれから4年越しで遂に、といった感慨も大きい。


この映画、というかサマーキャンプが恐ろしいのは映画冒頭で語られる主催者フィッシャーの発言。
イスラムには神のために戦う戦士がいる。彼らは小さい頃から神の教育をされているからだ。私はクリスチャンにも同じような戦士が欲しい。そこで子供達を教育しなければならない」


こんな発言を真顔でしてしまう彼女はキリスト教福音派と呼ばれる聖書絶対主義クリスチャンの一人。
福音派にまつわるエピソードで有名なものと言えば科学の全否定による公教育の放棄。
映画の中でも実際のホームスクールの様子が描かれていますが、まだ10代にも満たないような子供が「進化論なんてあるわけない」なんてことを平気で言ってしまう現実を目の当たりにすると空恐ろしくなります。


上記の例をはじめこのような「洗脳」は枚挙にいとまがありません。
さらに、このような洗脳が恐ろしいのは彼らの運動が宗教の枠を超えて政治の世界にまで浸食してきていること。
なんせ、”あの”ブッシュがキャンプに参加している子供達、さらには大人からまるで神様のように崇められているんですよ!?
その理由はただ一つ。
ブッシュがキリスト教信者であり、その中でも福音派の主張を取り入れた政策を推し進めているから。
これが笑い話で済まないのは、実際にブッシュが大統領選を勝てたのは全米の人口の25%〜40%を占めているという彼ら福音派の後押しがあったからなのです。
もはや政教分離の原則は有名無実。
そのうえ、明らかに偏った思想を植え付けられて育った子供達がこれからも増え続けていけばこの構造はさらに強固になっていくのです。


このような教育で彼らの、モノを観て考える力が劣化してしまった例を最後に紹介して終わりにしましょう。
サマーキャンプを主催しているフィッシャーさんが子供達に他のキリスト教徒について言及します。


その例として彼女があげたのは


さらにこう続けます。


お前がいうか!?



この映画が気になった人はぜひコチラで観てみましょう。