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池上製麺所

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往々にして地方にはその地方でのみ恐ろしい知名度を持つ人がいる。
その多くは地方局のテレビ番組で活躍するひとであったりすることが多い。
今ではすっかり全国区になってしまったが一昔前の大泉洋などその最たる例だろう。
しかしここ香川で功成り名を遂げるにはやはりうどんを介さずにはおれない。
我々はこれからそのうどん界の、引いては香川の政財界にまで強力な力を持つとか持たないとか言われている人物に会い見えようとしている。
筆者が初めてその人物の存在を知ったのは昨年。
香川県内でとてつもない店舗数を持ち、うどん行脚の道中ではその店舗数の多さを味わうのも楽しみの一つとなりつつあるスーパー、マルナカの田町店を訪れた。
そこには日常の風景としてうどんの玉がどっさり直売されており、その種類の多さたるやiPhone appかさぬきのうどんかと並列したくなるほどだった。
見なれない興味深い一角に目を奪われた筆者はその中でもさらに一際目を引くうどんを見つけた。
「なあ、これ何?すごいのがあるんだけど」
「あー、それは池上っていうところの有名なおばあちゃんなんですよ。おそらく香川で知らない人はいないんじゃないですかね。この店もめちゃくちゃ有名で、最近は行くたびに店が立派になっていってるんですよね」
「ふーん。儲けてるんだねぇ」筆者はパッケージの上から満面の笑みを投げかけているその人を見ながら気のない返事をした。

実を言うと筆者はこの時点でこの店に対する興味を失っていた。それは紛れもない筆者の偏見なのだが、この手のビジネスライクな匂いのする店の出すうどんなんて大概たいしたことないんだよなと思っているのだ。
するとその反応になにかを感じたのかうどんマスターは矢継ぎ早にこう付け足した。
「このるみばあちゃんはいつもレジの所にいるんですけど、写真撮影をお願いするとハグしてくれます!」
えぇ!なら行こうかな?ってなるかっ!
結局昨年のうどん行脚に池上が入ることはなかった。


「今年は池上どうしますか?」初日の出発前、うどんマスターは例のごとく綿密に立てられたスケジュール表を手に筆者に問うた。「一応、今日の夕方に入れてるんですけど別にいろいろ応用はききます」
「あぁ、あの店?いいよ、行こうよ」
「大丈夫ですか?」思いの外あっさりと提案を受け入れられて逆に訝しがるうどんマスターを尻目に筆者はある決意を固めていた。
「俺は今日、あのばあちゃんを抱くから」
うどんマスターが無言でアクセルを強く踏みしめた。


「そろそろですね」
うどんマスターが筆者に戦闘用意を告げた。
小ネタ採集で訪れた高松空港から池上製麺所までは車で10分足らず。
なんだかんだで最後にうどんを食べてからは既に2時間ほど経過している。
「小腹も空いてタイミングはばっちしってかぁ?」筆者は戦闘態勢万端だ。
「あ、あそこです」
車は片側一車線の道から池上帝国の敷地へと侵入を開始した。
「駐車場広くなってる!」
うどんマスターは早速勢力を拡大している池上帝国の実状を実況し始めた。
「あそこ前は田んぼだったのに‥。ヤバイですよ!これ、そのうちここら一帯の田んぼ全部整理されますよ!それにさっき人が並んでたところ、前まであんな立派な建物なかったですよ」
「落ち着け!大丈夫だから。ちくしょう、池上め。デススターなんて完成させてなるものか」
筆者はいっそうばあちゃんを抱く決心を強くした。今や脳内ではるみばあちゃん=ダースベイダーの図式完成だ。
「いざゆかん!」


で、まずは注文を決めます。

「ここは何がオススメ?」
「ここはシンプルにひやで大丈夫ですよ」
「OK!わかった」
早く順番来ないかなぁー。


で、律儀に列に並びます。ワクワク。



そしていざ帝国の内部へ侵入。
するとすぐにボスを発見!
ダースはレジ横に設置された場所に腰掛けてお客さんに何かを話しかけている。
「うどんのお土産もそこにあるから気になったら買っていってねぇ」
クソ!早速の営業トークか!ますます許せない!帝国になんて俺は屈しないぜ。
そのうちに少しずつ列が前に進み、いよいよ筆者とダースの間合いが詰まってきた。
筆者はじりじりとスキを伺いながらアタックの瞬間をうかがっている。
するとその時、思いもよらない方向から横槍が入れられた。うどんマスターだ。
「写真お願いしたらいいじゃないですか」
「ば、ばか!お前‥」突然の展開に面喰らう筆者。
「お兄ちゃん、おいで」
「へっ?」
振り返るとそこではダースがこちらに笑いかけている。
「お、お願いしてもいいですか?」しどろもどろの筆者。
「いいよ。お兄ちゃんハンサムやからなぁ」
「いやぁ、おばあちゃん、お上手だものぉ!」
で、仲良く撮影。


とってもいい人でした!!


しかし筆者は今一度冷酷にならなければならない。
うどん屋はうどんの味でこそ評価されるべきなんだよぉ!!
筆者はうどんを前に冷静さを取り戻した。


ひや


とってもおいしかったです!!
きちっとエッジが立っていてすすりがいのある麺。
それをシンプルにネギとしょうだけで頂く贅沢!
食べた瞬間に思わず目を剥きました。うまいっ!


この店、めちゃくちゃおすすめです!!
みんなで帝国に行こう!