OUTRAGE

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映画 「アウトレイジ」 10 日
監督:北野武
主演:ビートたけし


関東の巨大暴力団・山王会本家・若頭の加藤は、傘下の池元組が村瀬組と兄弟盃を交わして親密になっている事を快く思っていなかった。そこで加藤はこの2つの組を仲違いさせようと企て、池元に対して「村瀬を締めろ」と無理な命令をする。しかし命令を受けた池元は村瀬と兄弟分であるため自分からは手が出せない。これに困った池元は結局、配下の大友組に命令して村瀬組を締めさせる事に成功した。だが後に、この件が元で池元組と大友組の親子闘争が勃発し、やがては山王会本家をも巻き込む壮絶な下剋上の権力闘争へと発展する。その過程の中で大友組は一人また一人と殺されながら徐々に壊滅して行き・・・



各所で絶賛の評を耳にしていたということもあって期待値を若干高めの設定にして臨んだ今回。
見終わっての感想は好いところは本当に好かったけど、そうじゃないところも散見されたということ。
まずこの映画で素晴らしいのは暴力描写がしっかりエグイところ。
血は吹き出すし、指は飛び散るしで見ていて思わず顔をしかめてしまうほどなのですが、要はこれ映画内での暴力がちゃんと痛そうなんですよね。
特に印象的なシーンは歯医者のくだり。結構ベタな手法かもしれませんがあのシーンはちょっと忘れられない。
もう一つ好かったのはさりげなく出てくる笑いのポイント。
ここは、さすがビートたけし!という感じなのですがそれがどう素晴らしかったかと言えば、押しつけがましくない。わざとらしくない。話しの展開を乱さない。というようにとにかく自然に笑わせてくれるんです。というより人によっては「これは笑っていいところなの?」と思うかもしれないくらい。


逆にうまく馴染めなかった点は映画全体に配置される記号的表現。もう映画のなかの人物から景色からなにもかもが記号という装飾を纏っていると言いたいほど。
要はステレオタイプ満載なんですよ。
これが極道ものの楽しみ方なのかもしれませんが、それにしてもあまりにあまりすぎるだろう、と。
あと、唯一この映画でださいなぁと思ってしまったのがとある国の大使にヤクザの恐ろしさを示すシーン。
とんでもない恐ろしい手で脅迫するのかと思いきや、彼が目にしたのは自宅の風呂場にとぐろを巻いて鎮座していた大蛇。
いや、もちろんめちゃくちゃ怖いけれども、ヤクザの怖さを教えたんで−!くらいのノリからだとどうしても滑稽にしか見えないという。


と、そんな残念なところもありましたが、映画自体はカットの多さと説明のための説明台詞の少なさが功を奏してテンポ良く話しが進んでいくので集中力が途切れずにいけました。
役者陣の中では椎名桔平がいちばん好かった。凄みのきかせ方が一番堂に入っていたな、と。
デートに使えるかは大いに疑問が残るところですが、この映画を一緒に見て楽しんでくれる彼女は間違いなく手放してはいけないthe oneでしょう。