09年の秀作・曲

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昨日のエントリーでは09年に発表されたアルバムでよく聴いたものを取り上げたが、今日は09年に発表された曲を取り上げようと思う。



・「good boy, bad boy feat. SEEDA, KREVA」 熊井五郎

現在日本で一番売れているラッパーと言ってもいいオーバーグラウンドの雄Krevaと昨年はGeekのOKIと共に"Teriyaki Beef"でテリヤキ・ボーイズにdisを仕掛けたり、アルバム発売後すぐにラッパー引退宣言そして引退撤回後にブルーハーブのBOSSやEMI MARIAというシンガーと共に"Wisdom"を発表するなど大車輪の活躍だった(bounce誌上ではOPUS OF THE YEARに選ばれてもいる!)アンダーグラウンドの雄Seedaが組んでトラックメイカーである熊井五郎名義で発表されたこの曲。
多分去年一番聴いた。まずこのループの気持ちよさ。テンポもちょうどよくて聴けば聴くほどに気持ちよくなっていく。
そこに乗るKrevaの絶妙な歌(この人はラッパーとしての腕前はもちろんだけど普遍的なポップス職人としてのセンスが抜群すぎると思う)とテクニカルではないけれど言葉の組み合わせが独特でクセになるseedaのラップと文句なしの一曲。
このアルバムに収録。

[其の五]その後は吾郎の五曲

[其の五]その後は吾郎の五曲



・「I Gotta Feeling」 Black Eyed Peas

おそらく全世界的に昨年一番売れた曲じゃないかと思う。
昨年一年間を、そして新しい年になった今の世にもはびこる景気低迷にともなう暗黒の空気にまさにあっけらかんという言葉がぴったりなほどに無根拠でKYなテーマをぶち上げてそれで世界を飲み込んでしまったBEPは、彼らがヒップホップなのかどうかという議論がばかばかしくなるほどに突き抜けていて天晴れだった。
「今夜はいい夜になりそうな気がしている」
ってそれだけしか歌われていないのに、この曲が流れていると本当にそんな気がしてくるのだから音楽って本当に凄いよな。

End - Energy Never Dies

End - Energy Never Dies



・「Day 'n' Nite」 Kid Cudi  

去年の最重要ニューカマーとして各種媒体で祭り上げられていたKid Cudi(キッド・カディ)。
アルバムは期待していたよりも…だったけれど(オルタナ趣味が強すぎたかな)アルバムに先駆けて発表されたこの曲は大好きだった。
カニエとコモンを招いて、さらには去年の音楽シーンにおける一大インシデントだったLady Gagaの大ヒット曲"Poker Face"を大胆にサンプリングした"Make her say"もそのトピックの豊富さや時代感、もちろん曲の良さを考えれば09年の一曲として取り上げてしかるべきだけれど僕は"Day 'n' Nite"の持つオタク気質のが09年のヒップホップを象徴しているようでここに取り上げるに至った。

マン・オン・ザ・ムーン:ザ・エンド・オブ・デイ

マン・オン・ザ・ムーン:ザ・エンド・オブ・デイ



・「Make Me」 Janet Jackson

去年の音楽シーンを語る上で避けて通れないのは矢張りマイケル・ジャクソンの急逝だろう。
誰でも死んだ途端に聖人と化してしまう相変わらずの風潮には辟易だけれどマイケルの素晴らしい音楽がさらに多くの人に広まったということは不幸な事件が発端とはいえせめてもの慰めだ。
そして僕はこの一件をきっかけにまさか妹と遭遇することとなった。
曲中にマイケルの代表曲の一つである"Don't Stop 'Til You Get Enough"をオマージュとして散りばめたこの曲はもちろんマイケルへの手向けであることは疑いようがないが、そんな曲をここまでアグレッシブにハイテンションで仕立てたジャネットにはトゥ・サムズ・アップ!!
誰よりもマイケルを愛しているからこそのダンス葬に汗と涙を見る。



・「Rockin' That Thang」 The-Dream

今や当代一のソングライターであるThe Dream a.k.a. Radio Killaの一曲。
昨年彼の関与した曲を数えたらとてつもない数になりそうなほどの多作ぶり。そしてそれほど多作でありながらクオリティの高さも太鼓判だから恐れ入る。
彼の曲はどこがいいのかを説明するのが難しいのだけれど、気がつくといつの間にか頭から離れなくなる中毒性があって取り扱い注意。
ビデオのキラキラ感もインパクト大。

Love Vs Money

Love Vs Money



・「Slow Dance」 Keri Hilson

毎年のように出ては消える(?)歌姫(ディーバ)達。昨年は間違いなく彼女が主役だった。
まあもともとが裏方仕事をしていた人だから実力は充分というかこんな人が裏方に甘んじているくらいだからアメリカは人材が豊富だな。
たしかLady Gagaも初めは裏方として楽曲提供をしていたみたいだし、今ではスターダムのNe-Yoや上で紹介したThe-Dreamも同類項だからアメリカのポップ産業の構造はマジに成熟しまくっている。
そしてKeriを巡るトピックとして外せないのがそのビジュアル。
かつて菊地成孔氏がUtadaのアメリカ進出第一弾の失敗を分析して「あれではヌケないから」という旨の慧眼を披露していたが、このビデオを見ると納得するしかない。
曲が書けて歌えて、この美貌とスタイル。これで売れなきゃ誰が売れる。
ちなみにUtadaのアメリカ仕事第二弾は前回の反省を生かしてかキッチリ路線変更をして臨んでいたところも素晴らしい決断だと思った。
1枚目のジャケは酷すぎたものね。これは余談。

In a Perfect World

In a Perfect World


・「Promise In Love」 DJ MITSU THE BEATS

最初と最後は日本の素晴らしいアーティストで締めたい。
DJ MITSU THE BEATSGAGLEのDJにしてソロとしても精力的な活動が光る彼が昨年発表したアルバムからの一曲。
まあこの曲に言葉はいらんでしょう。とにかく聴いてみてください。

A WORD TO THE WISE

A WORD TO THE WISE