アンヴィルとマイケル

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昨日と今日で映画を2本見ました。
偶然と言うべきかどちらも音楽家が主役のドキュメント。
一本は
アンヴィル〜夢を諦めきれない男たち〜
という映画で作品のタイトルにもなっている売れないヘビメタバンド・アンヴィル
2006年当時の姿を追った作品。
もう一本はちまたで話題のThis is it
言わずとしれたマイケルのラスト公演になるはずだったライブのリハーサルをまとめた一作。
前者は30年以上も売れないままで(ほんの一時期だけ輝いたことはあったようですが)
今では学校給食の配送業者をしながらそれでも活動を続けているといういわば日陰の音楽家。
かたや後者はキング・オブ・ポップの異名をとり世界で一番売れたアルバムを作った音楽家。
映画としてはアンヴィルの方が面白いです。
というかマイケルの方は実現できなかったライブを何とか出来うる範囲で再現した擬似ライブなのだから
同じ土俵で競うものではないですね。
やろうと思えばもっとしんみりとファンの涙を誘うような作り方もできたはずの映画だったのに
変に感傷的にせずにマイケルの衰えぬ凄みとそれを支えるスタッフたちの一流の仕事ぶりをしっかりと
見せてくれたオルテガ監督には拍手です。
というか上映が終わってから本当に拍手が起きたのにはビックリ。そんな映画初めてだよ。
せっかくマイケルのパフォーマンスを見るならあとでDVDとかで見るのではなく是非大きなスクリーンと
いい音で楽しめる劇場鑑賞をオススメします。

アンヴィルの方はもう生々しくて最高。
売れないバンドの悲哀。例えばエージェントに請われてヨーロッパ・ツアーに出てみれば会場はどこも
数人程度しか客がいなかったり、さらにはギャラをもらえなかったり。
小さい規模とはいえライブで燃え上がったと思ったら次の日には細々と仕事をこなさなければならないという現実。
でもアンヴィルのオリジナルメンバーの二人は時には喧嘩もするけれどやっぱどこかで幸せそう。
それって本当に自分たちがやりたいことをやっているから。それよりなにより挑戦し続けているからですよね。
劇中でも言っているのですが「あのときああしておけばとか、後悔が全くない」人生を歩んできているんですよ。
別に同じような境遇、音楽をやっていますという人だけでなく、何か自分の信念に向かって挑戦し続けている人なら
共感できること請け合い。そして勇気が出ます。
かっこ悪い、が本当はかっこいい。ということがよくわかる映画。こちらも激しくオススメです。