9月10日 むさし

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こんぴら詣でを済ませて下山。
背後にそびえる見事な風景に未練を感じながらも我々は次の、そしてこの旅さいごのうどん屋となるむさしさんへと歩みを進めている。
「ついにこのときがきたな」
「そうですね」
「今まで色々なうどんを食べてきたけど、さて最後はいったい何を食べさしてくれるわけ?」
「はい。最後はカレーうどんです」
「…?」


と、いうわけで我々は香川について最初と最後のうどんをあえてのカレーうどんで飾るという演出を試みることとなった。


この店はこんぴらさんのふもとの、四国・中国地方ではかなりの権勢を誇るマルナカというスーパーの駐車場内に存在する。この辺りもやっぱ香川の奥深さ。


店内は繁忙期を過ぎた昼下がりの静けさ、そして地方の家族経営の店特有の緩さに包まれて居心地が好い。
注文を通して暫く待つ。
つい先ほどまではもう何も食べたくないと思っていたのに、こんぴらさんで体を動かしたらすっかり小腹が空いている。
当たり前のこと過ぎてわざわざ文字にするのもはばかれるけれど、食事にとって最良のコンディションは食欲の旺盛なときである。


22:カレーうどん


同じカレーうどんで言うと初日に食べた鶴丸さんのそれと比べてむさしさんのカレーうどんは黒い。そして濃い。
それでも甘辛さはあって旨い。
カレーうどんって正直すこし敬遠していたのだけれど、讃岐の国で見直した。
要は麺の出来なのかな。
この根本がしっかりしていれば結局うどんは旨いという話。


さて、これにて長らく続いたうどん紀行も終了。
記録を残すにあたって、訪れたお店をランキング形式にしようかとも考えたけれど結局やめた。
考えれば考えるほどドツボにはまっていくし、なにより面白くなかった。
それでもあえてこの店は!といううどん屋を一軒挙げるならば、日の出製麺所をおすすめしたい。
筆者はうどんを食べてまさか感動することがあるとは思わなかった。
それくらいこの店はよかった。
お昼の1時間限定という営業形態なのでなかなか大変かと思うがぜひ行ってみて欲しい。
最後に、今回の旅において筆者のわがまま、そして暴言にも寛大な姿勢を崩さずに、素晴らしい時間割で最高の香川県を見せてくれたうどんマスターに最大限の賛辞を。
ほんとうにありがとう。またよろしく。