痛いし暗いし悲しいし

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チェンジリングを見た。


監督:クリント・イーストウッド
主演:アンジェリーナ・ジョリー



Changeling(取替え子)の発生に端を発する物語。
当時LAPD(ロス市警)は腐敗と汚職に満ちていた。市民からの白眼視を挽回するために彼らは手柄を、それもとびきり大きなものを必要としていた。
そこに降って湧いた事件がクリスティン(アンジェリーナ・ジョリー)の息子ウォルターの失踪事件だった。
息子がいなくなってから半年の間悲観にくれていたクリスティンのもとに子供が見つかったという朗報が入る。
たくさんの報道陣が親子の感動の再会を見ようと集う中、列車から降りてきた息子を見てクリスティンは絶句する。
その子供は自分の子供には似ても似つかぬ別人だったのだ。
クリスティンは何度も警察に掛け合う。「あの子は私の子ではない」
しかし捏造を露呈したくない警察は取り合わず、更には彼女を精神病棟へ幽閉した。
それでも権力に屈しないクリスティン。彼女には息子に会いたいという絶対の意思があった。
そして事態はある事件をきっかけに誰にも想像出来ない道を辿っていった。



まず、こんな事件が実際に起こったということに胸が張り裂けそうになった。
自分達の欲望のためにそして保身のために他人の不幸をしゃぶりつくす警察。
人のもつ暗い側面に絶望した。
しかしその一方で息子への愛を後ろ盾に戦い続けた彼女の勇気と信念に、彼女を支えた人々の善意と正義にそれ以上の希望を見た。
この映画はとても痛い。話が進んでいくごとにその悲惨さに胸が詰まる。
けれどもその度に自分や他人の生命の尊さが浮き彫りになる。
生きているということが、愛する何かにその愛を注ぐことが出来ることがどれだけ美しいことか。
クリント・イーストウッドの作品には必ずそんなメッセージが込められている。
絶対支持。是非見てほしい。