先生と私

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これまでその事実は知られていたが、肝心の内容については未知のままだった夏目漱石の旧満州での講演の様子が地元の「満州日日新聞」に掲載されていたことがわかったそうです。
その講演のなかで先生(もちろん夏目先生だよ)は「物の関係と三様の人間」というタイトルでこう語られました。

人には「物と物との関係を明(あきら)める人(科学者など)」「物と物との関係を変化せしむる人(軍人や満鉄社員など)」「物と物との関係を味(あじわ)う人(文芸家など)」の三つのタイプがあり、社会の進展には、三様がバランスよく発展していく必要がある

今ってこのなかで言えば最後の「物と物の関係を味う人」とそれに準ずる人の割合が多いような気がしますね。いわゆるアーティストor志望ってやつ。それはつまり芸術家の地位が向上したともいえるし、敷居が低くなったともいえますが、これってやっぱり社会的風潮が左傾してるってことのなのかな?
リベラルであることがオシャレであるってこととイコールになって、No WarやEcoを主張する(もちろんそれ自体は僕も賛成ですが)ことがファッションになっているのかな、と。でも結局それって金持ち階級に許された特権ですよね。ちなみにこの場合の金持ちというのは物質的にも精神的にもある程度安定した生活をおくることが出来るというのが定義です。
治安の悪さと貧困の間に歴然たる因果関係がある以上、富める人が逆のベクトルへ向かうのは当然なのでしょうか。でも概してそういう人々の主張って生ぬるく聞こえます。矢張り飢えている人々の発する切実で切迫感に溢れた願望って強いですよ。
先生の言うことが本当であるならばこの生ぬるい世間が変わらないと世界は変わっていかないのかな。